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突然の修学旅行中止!


■突然に

 昨日(2001/09/26)の放課後に臨時の職員会議があり、この10月に予定されていた2年生の修学旅行が「中止」になった。10月の中旬に沖縄に向けて出発する予定であったが、近隣の高校も「テロ事件」の余波を受けた航空機の運行状態に不安があるために、次々と中止になっているのを勘案しての結果であった。「まさか、ここまで…」と驚きのようすの職員も多かった。しかし、私は沖縄だけでなく航空機を使った修学旅行に何らかの影響はでてくるとかんがえていたせいか、「やはり、そうか」という印象を受けた。

 それ以前に、県の教育委員会から通達が来ており、「修学旅行で沖縄に行く予定の高校は十分な情勢分析をした上で実行するように…」というような内容であったので、これは暗に「飛行機を使った沖縄修学旅行はできるかぎり避けよ」という意味であると私は解釈していた。あとは、どこの高校が最初に中止の判断をするかだけであった。幸いなことに県央の進学校A高校が「沖縄修学旅行中止!」したのを受けて、次々に近隣の高校が「ウチもウチも…」という形で、なだれをうったように中止に傾いて来たというわけだ。

 どの高校も本音を言えば、面倒な修学旅行などしたくもないので、何かの正当付ける理由があれば、すぐにでも修学旅行などやめたいとかんがえているにちがいない。ちょうどタイミングがよかったともいえる。これから、もし行くとすると、新幹線などを使った代替地を探さなければならないが、実施するにしても来年の1月か入試明けの3月くらいになるのではないかと、推測している。

■修学旅行は本当に必要なのか?

 ここからは、私の個人的なかんがえである。結論から言えば「修学旅行は必要ない」と私はかんがえている。なぜか?答えは簡単である。学校は旅行業者じゃないし、そんな余計なことまでしている必要はないというものです。それに、他の教員は行きたいのかもしれないが、私は生徒と旅行などしたいとはおもっていない。旅行は行きたい人が自分で好きなところを選んで、自分の責任でゆけばいい。学校が音頭を取り、旅行業者みたいな真似をする必要が一体どこにあるのだろうか?

 学校が修学旅行をなかなか止められない理由には、旅行業者との癒着の問題がある。別に金銭的に何かよからぬことをしているとかではなく、一つの慣例化した学校行事のため業者もこれを急に廃止されると担当部署が困ってしまうだろう。それで県教委や校長会などへも無言の圧力がかかってくるという構図になっていると想像される。これらの部署には元校長などが天下りしているケースも多々あり、癒着の構図は他の分野と同様なものになっている。修学旅行だけでなく、遠足(私の勤務校では何と!「社会見学」とよんでいる…一体どこに社会があるのか?)のときなども、バスの手配などを頼む関係上、どうしても旅行業者とはある程度の付き合いをたもっておかなければならないという学校側の弱みも原因しているのだろう。

 生徒の少数しか都会などに旅行できなかった時代には修学旅行もそれなりに意味をもっていたのかもしれない。「せめて一生の内、一度だけでもそういうところを見学させたい」という学校側の思いも理解できないわけではない。しかし、それが現在でも意味をもつとは到底おもえない。もう、だれでもその気になれば、どこへでも旅行できる時代になっている。そんな環境では、学校側の意図もほとんどピント外れになっていると言っていいようにおもう。来年度から国公立の学校は完全に週休2日になってしまう。「授業時間を何とか確保したい」と苦慮している上位レベルの学校も多い。そんな中で修学旅行などをおこなえば、前後2週間ほどはこれに時間を取られてしまう。さらに、文化祭・体育祭などとやっていては切りがない。この辺で、「学校は勉強するところ」という原点に立って、学校行事の見直しをはかる必要があるとかんがえている。

■修学旅行は本当はだれが行きたいのか?

 高校の場合、1年生に入学してすぐに「2年生になったら、修学旅行でどこに行きたいか?」というようなアンケートを取ることが多い。まだ、入学して右も左もわからない新入生にこんなアンケートをする。なぜか?それは、早めに飛行機なり新幹線なりの予約を取っておかないと、希望する時期に修学旅行ができないからだ。関東では、中学生は4月〜7月にかけて、高校では9月〜11月くらいに修学旅行を実施するところが多い。中学校なら京都・奈良、高校なら沖縄・北海道が定番になっており、飛行機・新幹線・宿舎を巡って各旅行会社が熾烈な獲得競争を繰り広げるのである。今年度1学年担当の私のところでも、まだ入学者が学校にも来ていない3月に「沖縄はもう一杯一杯ですよ」と、ある旅行業者に言われてしまった。どの学校もとりあえず「沖縄」で申し込みをしておいて、後でキャンセルするようだ。この辺は東京・埼玉あたりの高校はじつに素早い動きをしているようで、神奈川はいつも出遅れている。飛行機が解禁になってからは、ほとんどの高校が沖縄か北海道を選んでいるようで、ワンパタン化している。

 生徒にアンケートを取ると、ほぼ沖縄と北海道がおもしろいように上がってくる。しかし、今回のように飛行機テロみたいな話が出てくると、「飛行機には乗りたくな〜い!」という反応がまたしてもワンパタンに出てくる。所詮アンケートなどを取ってみても状況証拠として取っているだけで、生徒はそれほどどこに行きたいなどという関心はないのである。どこでもいいから、仲間と遊びたいだけなのだ。それも、場所が変わって多少「旅行気分」が味わえれば、それでいいのだろう。その費用は今や10万円くらいが相場になっている。父兄の嘆きの声が聞こえて来そうだ。私たち職員は「引率」ということで、旅行費などは県から支給されるが、途中の飲食代などは当然個人もちになる。そのうちに、その旅行費も財政不足ということで出なくなったときが、修学旅行の終焉である。「だれが、自分の金を出して、負担ばかり多い修学旅行などに行くものか!」というのが教員の本当の気持ちだ。だから、修学旅行などないほうがいいとかんがえている私にとっては、「職員の修学旅行全額自己負担」を県が早く言い出してくれることを待っている。そうすれば、私の希望は難なく実現する(はずである)。

 生徒も本当はどうでもいい。職員も慣例で仕方なく旅行を計画する。それでは、だれが修学旅行に行きたがっているのか?それは、一部の旅行好きの職員と管理職、そして何百人もの生徒を一度に旅行に連れて行ける旅行会社などではないかとおもう。このリストラの時代に、旅行業界の人までリストラの対象になるのは忍びないが、年中行事のように修学旅行が繰り返される時代はもう終っていいのではないだろうか?

 早くこの悪弊がなくなることを願うとともに、自分の現場でもこういう慣習を改善してゆくように努めたいとかんがえている。

 2001/09/29(土) 08:01

★追記

 この文章を書いて、1週間ほどの間にアフガニスタンのタリバンをめぐる情勢は大きく変化して、本日(2001/10/8)の未明に、アメリカ・イギリス軍によるアフガニスタン攻撃が開始された。沖縄の嘉手納基地は本格的な軍事態勢に入ったわけで、当然のことながらこれによって民間航空機の運行にも大きな影響が出てくるのは必至である。本校の修学旅行の出発は今週に予定されていたので、偶然にも「中止!」の決定は正解であったことになる。来年度の修学旅行も沖縄を予定していたが、今後の戦況の具合では、行き先の変更もかんがえなければならないかもしれない。飛行機を使った旅行そのものへの影響があるので、行き先も限定されたものになるだろう。旅行を実施するかどうかから検討をし直す必要もあるだろうと私はかんがえている。

 2001/10/08 (月) 14:50:57

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