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「数式ワープロ」を探し求めて


■数式作成ワープロを探し求めて

 職業柄(高校で物理・化学を教えている)、パソコンで数式を書かなければならないときが多い。生徒に配布するプリントや試験問題を作るときなど、数式・化学式などを扱うケースは頻繁にある。こういう文書は、ふつう使っているエディタでは無理なので、日本語ワープロソフトを使うことになる。NECの98ノートを使っていた時代は、「Quick Note」という数式作成ワープロを使っていたが、今はそのソフトを使うこともできなくなってしまった(DOS/V機に乗り換えたため)。その当時から、数式や化学式など科学関係で使う式や記号を簡単に記述できるワープロソフトを探し求めていたようにおもう。Texやその拡張版のLaTexなどに関心をもったのもそういう動機からだった。

 当時、日本語ワープロとして使っていたのは、「一太郎Ver.3」とか「松」などであったが、主に使っていたのは「一太郎」であったとおもう。とくに「一太郎Ver4.3」はかなり愛用した。この日本語ワープロには一応「数式作成エディタ」が付いてはいたが、ほんの少しの数式を打ち込むにも、操作が面倒くさくて、正直辟易していた。そこで、Tex関係の本で数式入力が比較的楽であるようなことを知り、それのデモ版みたいなもので練習してみた。しかし、このTexは独特のコマンドを入れて数式を作るため、とてもぼくには合わなかった。これをもっと簡単なものにしたのがすでに述べた「Quick Note」というソフトであった。これでも、やはりそれなりのコマンドは覚える必要があったので、それほど楽に入力できるようになったとは思えなかった。今覚えているのは、このソフトの作者が九州大学の数学の先生だったことぐらいである。結局このソフトは前前任校から転出する際にだれかに上げてきてしまった。(追記:先日Vectorで検索していたら、何と懐かしいこのソフトがMS-DOS版ででていました)

 「一太郎」は日本語ワープロソフトの秀作である。最近ではあまり使われなくなったようだが(ぼくの職場は教育関係なので、まだ需要はある。しかし、確実に使用者は減っている)、ぼくもつい先日、10年も前の文章を印刷する必要上、久しぶりに「一太郎10」を購入したみた。というのも、ぼくは、「一太郎7」を最後にその後は「MS・Word」に乗り換えてしまっていたのだ。使い慣れた「一太郎」を離れた理由は、じつに簡単で、「一太郎」の数式入力形式に全く進歩のあとが見られないからだった。「MS・Word」の数式作成エディタは「一太郎」と較べたら格段に優れていた。なんといっても、文章上で入力している数式を見ながら作業ができるところがよかった(シームレス機能とでもいうのかな)。

 それでも、不満がないわけではない。「一太郎」にしても「MS・Word」にしても数式や化学式などをオブジェクトとして文章に貼り付ける形式になっている点である。これは、入力したものを修正するときなどはけっこう面倒くさいものである。ぼくは、ずっと以前から思っていたのだが、パソコンやワープロ、それに本格的なコンピュータ、さらにはそれらを動かすソフト類を作ってきたのは理科系の人間が大半だったはずで、その過程で数式を使わなかったはずはないとおもうのだ。それにしては、出来上がったワープロソフトは数式や化学式などの記述には非常に冷淡な態度をとってきたといっても過言ではない。

 現在でも、数式入力には冷淡なことには変わりがない。ぼくは数年前に「カルキング」という計算ソフトの存在を知り、あちこち探し回ってようやく手に入れたことがある。この「カルキング」は名まえの通り、数式や計算式を入れると計算してくれるソフトであるが、数式作成のワープロにも使えるものだ。しかし、このソフトのメインの目的はいろいろな数学上の計算をかなり簡単な入力で行うことにある。数式作成エディタはその中の1つの機能という位置付けである。もちろん、これはこれでじつに優れた機能であったが、いわゆる科学関係文書の作成時に使うワープロ(あるいはエディタ)としては、動きの軽快さや入力のしやすさなどの面で何かもう1つ足りないという印象は常々感じていた。

 もうおわかりだとおもうのだけれど、ぼくが求めているワープロは単なる数式作成ワープロではなく「科学的文書作成ワープロ」を求めていたのだ。自然科学的な文章をつくるときに必要とされる記号や式などをワープロ感覚で簡単に入力でき、しかもHTML文章にも簡単に変換でき(これは式などを画像として貼り付けるしか今のところほうほうはない)、Internet上でもすぐに閲覧できるような機能をもったものを求めていたのである。確かにこういうソフトの需要はそれほどないだろうから作ってもそうは売れないとおもう。でも、こういうソフトを求めている人もけっこういるのではないか?とぼくはおもっている。大きいソフトでなく、値段も手ごろで、しかも数式入力の方法もほぼ手書きと同じような感覚でできるものがあればそれは、理科系の人たちにとって朗報となるに違いない、とぼくは考えている。

 「そういうのは、自分で作れ!」と言われてしまうのももっともである。ぼく自身そうおもって「自分で作るしかないかな」と真剣に考え、Visual C++のソフトを購入してソフト作りの態勢に入ったこともあった。しかし、頓挫した。今のぼくのプログラミング能力では、出来る前にぼくは棺桶の中に入ってしまう。そこで、ぼくは、「ぼくが考えるくらいだから、広い世の中必ずや同じ想いをもっていて、すでにそういうソフトを作っている人がいるにちがいない。それを探そう…」と考えの方向転換をおこなった次第。まだ、見つかってはいない。仕方ないので、しばらくは「MS・Word」を使うしかないとあきらめ、そのかわり簡単な操作方法を考えることにした。次に述べるのは、キーボードだけで数式や化学式を入力してゆく方法である。このような解説は、大抵の人には関係ないので、余ほどの物好きしか知らなくても困ることはない。でも知っておくとキーボードから手を離さずにほとんどの作業ができることがわかり、他の場面でも役立つことは多いと考えている。なお、Wordの解説本で「数式入力」に触れたものは思った通り少ない。というより、ほとんど解説になっていない。それらの解説本の作者はほとんどが数式などを使う分野の人ではないためか、1ページも触れていない。ワープロを使う人の大半は数式や化学式みたいなものを文章にすることはまれであるから、これは当然のことであろう。しかし、少数でもそういう需要はあるとぼくは想像している。

 すでにこういうショートカットキーを使ったりして、存分に使いこなしている方は多いにちがいない。ただ、そういう人はその人にとっては当たり前のことすぎて、他の人にまでその方法を伝えているかといえば、その例は少ないとおもう。雑誌や解説本でもこの手の理科系的な文書を作るときの数式作成の方法などはほとんどお目にかかったことはないからだ。まるで、知っている人から特定の個人にだけ水面下で伝授がおこなわれているような感じさえする。そこで、ぼくが数式や化学式などの入った文書(テスト問題作りもこれにはいるだろうが…)を普段どのようにして作っているかをできるだけ細かく話してみたい。もし、役立つ人がいればじつに嬉しい。

■「MS・Word97&98&2000&2002」での数式・化学式等入力方法

 最初にことわっておきますが、Windowsではキーボードとマウスを使って操作を行うけれど、マウスがないと操作できないかというとそんなことはない。というより、ほぼすべての操作はキーボードのみでできるのです。しかし、マウスがあれば視覚的に操作ができる利点もあり、併用して使われている。MS-DOS時代からのパソコンユーザーには、キーボードのみの操作の方が使いやすいと何度も聞いたことがあるが、じつは私もキーボードで作業をしているときに、一旦手を離してマウスをにぎるのはあまり好きではない。そこで、マウス操作の部分はできる限りキーボードのキー割り付けをして、キーボードで操作できるようカスタマイズしてしまう。自分の使いたいように使うのがパソコンのいいところでもあるから、それを実行しようというわけだ。なお、今回はWordのフィールド機能を使った数式入力にはふれない。「フィールドってな〜に?」なんて聞かれるとまた説明をくどくどとしないといけないから。

 それでは、キーボードによる数式・化学式などの入力作業方法を紹介する。まずは、キーボードのキーへの操作割り付けをしておこう。

(1)数式作成エディタ起動をキーに割り付ける。まず、「Word」の「ツール」→「ユーザー設定」で「コマンド」のタブ  をマウスでクリック。分類の中から「挿入」を反転選択して右隣の「コマンド」の中をカーソルで下に捜していく  と「Microsoft数式エディタ」というのが見つかる。これも反転選択。

(2)次に同じ「ユーザー設定」のウインドウの下にある「キーボード」というボタンがあるので、これをクリック。今   度は「キーボードのユーザー設定」のウインドウが開く。この中の分類で「挿入」を選択して右隣のコマンドか  ら「InsertEquation」を反転選択する。

(3)このウインドウの割り当てるキーの欄をクリックして、カーソルが点滅したら、「Ctrl」キーを押しながら「M」キ  ーを1回押す。そうすると、この欄にその操作「Ctrl+M」が表示される(+は2つのキーを一緒に押す意味)。  このあと、右の方にある「割り当て(A)」のボタンを押して確定する。そして、「閉じる」ボタンを押し、割り当て   を終える。

 この作業をすることで、「Ctrl」キーを押しながら「M(Mathの意味)」キーを押せば、「Microsoft数式エディタ」が起動する。ふつうはこの操作を「Ctrl+M」という記号で表すことにする。

 上記の作業がすめば、Wordを使って文章を書いているとき、数式を入力したくなったら「Ctrl+M」とキーを押せば、数式エディタが立ち上がり、入力態勢にはいれる。数式を入力する場所に枠が表示され、数式エディタのツールバーが画面のどこか(?)に現われる。いろんな記号があるが、そこにマウスで移動するのはクリック1つで簡単にいける。しかし、ここではマウスには頼らない。どうするか?「F2」のボタンを押すのである。こんなことはどこにも書いてないし、ぼくも知らなかったが、適当にキーを押していたら、そういうことがわかった。記号のツールバーに移ったら、「→」「←」のキーで該当する記号のところまで移動し、次に「↓」キーを押すとプルダウンメニューがでてくるので、あとは「矢印」キーを適当に使い、自分の必要とする数式記号を選択する(Enterキーで確定)。必要な数字や記号の入力には「矢印」キーを押しながら移動する。そして、最後によく間違えるのが、数式ができあがったときに「Enter」キーを押してしまうことだ。これでは、ダメ。この操作から抜けるときには「Esc」キーを押して作業から抜ける。そうすると、数式エディタも自動的に終了して、数式が文章の中にきちんと記入されている。この操作は文章を見ながらできるので、「一太郎」よりははるかにわかりやすい。なお、数式の中にさらに数式を入れ子の形で入れないといけないときは、「F2」キーを押して数式エディタのツールバーに入り、同じ操作を繰り返せばいい。文章で書くと長々となってしまうが、実際にやってみると、ほんの数秒の操作である。これをマウスと併用すると持ち替えの動作が入り、けっこうわずらわしくなるのである。これらの操作は慣れれば、どんどん速くなるので、マシンの性能(もう現在売られているものは十分に速いが)さえ問題なければ、通常の数式入力はこれで十分なくらいだ。このとき、入力された数式は1つのオブジェクト(操作や使った数式エディタの情報を抱え込んだ1つの包み)として画面上の文章の中に貼り付けられている。だから、修正するときには、その数式の部分をマウスでダブルクリックして数式エディタを起動して修正作業をおこなう必要がある。まあ、「ひも付き」というところか…。

 通常の化学式などはH2Oなどの2の部分がHの右に小さな数字で示される。これは、添字(そえじ)というのだが、これもマウスで一々やっていると面倒くさい。一旦作ったら辞書登録ができればいいのだが、添字があるために登録はできない。そこで、使うたびに作ってあとは、それを文章中でコピーしてゆくのだが、この作業中にキーボードとマウスを持ちかえるのはじつに疲れるのである。添字には「上付き」「下付き」があるのだが、これはちょっと押すキーの数が増えるが次のようにする。「上付き」は上に小さくしてあげたい数字(文字でもいい)を「Shift」キーと「→」キーなどで選択反転させ、「Ctrl」キーと「Shift」キーを押しながら「+」キーを押せばいい。Wordの表示でもこれはデフォルトでキー割り付けがされているが、「Ctrl++」となっているためわかりにくい。「下付き」の場合も同じように「Ctrl」キーと「Shift」キーを押しながら、「=」キーを押すといい。これも「Ctrl+=」という表示になっているので、わかりにくい。そして、一旦この操作をして数字・文字を「上付き」「下付き」にしたら変換の終わった文字列の右側でもう1度同じ操作をしてこのモードから抜けるようにする。そうしないと、そのあとに入力する文字がいつまでも「上付き」のままだったり、「下付き」のままだったりするから注意すること。同位体を表すときの元素記号の左に数字のあるものは、数式エディタを使って記入するしかない。これができるようになったら、あとは練習のみだ。キーだけでどれだけできるのか?他のメニューもキー操作だけでできるのか?これはやってみれば意外に面白いようにできるから、覚えておいても損はないとぼくはおもう。ところで、

「あなたはキー操作だけでWindowsを終了させられますか?」

マウスの調子がおかしくなることはけっこうある。こんなときでも、キーボードさえ大丈夫ならほとんどの操作は、キーボードのキー割り付けを利用してできる。ひまなときにこれらを少し練習しておくと、非常時にはとても助かる。「備えあれば憂いなし」とはパソコンの場合も同じである。とは言うものの「Word」の数式入力にしてもイライラすることはたびたびあることは、正直に言っておきたい。

 なお、以前は科学論文というと数式などが多いためそのほとんどが「Tex」などを使って作成されていたようだ。しかし最近ではこのWordの数式エディタを使ったものでも学会で通用するようになったとどこかで聞いたことがある。考えてみれば当り前のことで、論文1つ書くのにワープロソフトの使い方まで(しかも数式などの書き方まで)いちいち覚えなければならないなんて、まったく無駄なことなのである。手書きのように書けるソフトがあればどんどんそれを使うようになるのは当然のことである。ぼくも、くだらん操作を見つけるのにいらざる時間を費やしてしまったと本当はおもう。「Word」でも「一太郎」でも何でもいいのだけれど、もう少し記号や数式の入力を簡単にできるようにしていってほしいとつくづくおもう。それにしても、これらのワープロソフトを作っている人たちの中には理科系の人間も多いはずなのに、なんでこういうところに気が向かないのか?全くもって不思議で仕方がない。もちろん、数式の入力が口でいうほど簡単なことではないことは十分に認識してはいる。でも、決して不可能なわけではないことは、欧米のソフトなどを参考にするとわかる。これを、日本語でも可能にできないかと願っているだけである。

 文章だけで科学的な内容を伝える心がまえはとても大切であるが、じつは口で言うほど簡単ではない。科学的な話には暗黙に予備知識を前提にしていることが実に多いからだ。その前提知識があると仮定すると、図や式を使ったほうが文章ばかりで説明するよりも比較的容易に理解できる。文章で長々と説明されると返ってあくびがでてしまう。簡潔に記述したほうがわかりやすいことも世の中にはあるのだ。そういうことを知っていれば、科学の本をやさしく書くということは、じつは専門書を書くのと同じかそれ以上の努力と才能が要求される「創造的な仕事」であるのがわかる。

■ついに「数式エディタ(ワープロ)…MathNote」を見つける!

 この文章を書き始めてもうかなりになるが、そろそろHPに載せようかな?とおもい、念のため「数式作成エディタ」のようなものは出ていないことを確認しておこうと「goo」などで検索してみたら、Vectorに1件あると出てきた。まあ、見るだけは見ておこうとそこへアクセスして、説明文を読んだら、「お!これは面白そうだぞ」となり、しかも作者のHPにもアクセスしてみたら、あたらしいバージョンも見つけることができた。それが「数式エディタ…MathNote Ver1.09」である。

 さっそくダウンロードして試用期間(シェアウェアーソフトなので)の間使ってみようとインストールをした。ヘルプを何度も読んでみたら、どうも作者はあの秀作「カルキング」の製作者のお一人のようで、「カルキング」の数式エディタの部分を再度作り直し、数式作成ワープロとして発表されたようす。しかし、ソフトのサイズは解凍前で700kBほどで解凍しても1.6MBという超小さいサイズである。動きはぼくの自宅のマシンではもう軽すぎて飛んでしまいそうだ。しかも、カスタマイズがいろいろできて、印刷もいい。見栄えのいい数式がきれいに印字されてでてくると、もう気分はアインシュタインである。

 試用してみて「これぞ、捜し求めていた数式エディタ(ワープロ)だ!」と確信した。他のワープロに付属する「数式エディタ」とはコンセプトからしてちがうものなので、はっきり「数式ワープロ」と言っていいとおもう。毎日のように使ってみて、日に日に使い心地に惚れてしまった。もう迷いはなかったので、Vectorを通しての入金手続きをした。そして作者の「オータム西野」さんからライセンスキー(ふつうソフトのプロテクトをはずすパスワードに相当)を送ってもらい、めでたく思い切り使える状態になった。じつに嬉しい。「MathNote」はぼくのリンク集にも入れさせて頂いたオータムソフトでダウンロードできるので、興味のある方は一度試されることをお勧めする。

 このソフトでは、数式は「オブジェクト」ではない。ぼくは、オブジェクトのことを「壁掛けの絵」のように捉えているが、こういうのが1つの文章の中にいくつもあるとホント落ち着かなくなる。やはり、文章中にしっかりと根をおろしてほしい。それでこそ、数式が文章の中で大きな意味をもってくると考えている。数式は飾りではないのだ。それがこのソフトでは自然に入力できるのだ。操作そのものはゆっくりでも1週間もかければほぼ使いこなせるとおもう。秀作「カルキング」から「数式エディタ」の部分を見事にそり分けて、シンプルなソフト(Simple is best)に書き換え、操作もより手書きに近づけた(しかもこのソフトの容量で!)オータム西野さんの技量には驚嘆を覚えざるを得ない。「ここまでできるのだ・・・」と、うなってしまった。

 長いこと捜し求めて、偶然にもそれが見つかったときの喜び。これは、どんなものでも同じ気持ちだろうとおもう。作者のオータム西野さんはそれほど宣伝には乗り気でないのか、控えめにしているが、こういうソフトの存在は理工系(もう理科系・文科系などと言っている時代ではないのだから、理科系的なものに関心をもつ人ならすべて)の人に使ってもらい、すばらしい内容の論文なり文章なりをどんどん発表してもらいたいものである。数式ワープロ「MathNote」はそういう内容の文章を書くための道具にはちがいないが、これまたすばらしい縁の下の力持ちである。このソフト上で世界の人たちに読んでもらえるようなすばらしい内容の文章が書かれてゆくことを節に願ってこの文章を終えることにする(英文入力もF10キーを押せばすぐにできる!)。

■追記(「カルキング」と「MathNote」の関係?)

 「MathNote」にのめりこんでいたら、注文しておいた「カルキングVer.4」のバージョンアップ版(割安なだけで中味は同じ)が送られてきた。当然、比較してしまうのだが、最初の印象は、数式ワープロとしての使いやすさは断然「MathNote」に軍配があがる。作者がおっしゃっている通りである。数式ワープロとしての機能を強化したのだから、当然だろう。

 しかし、「カルキング」は計算もできてグラフも描ける。これに「MathNote」の機能と「作図」の機能がつけば、ぼくは迷わず「カルキング」を買う。「カルキング」を作られている人たちは気づいているとおもうのだが、このソフトはあまりに「計算」機能ばかりを追及しすぎている。今やそれほど値段の高くない関数電卓でも相当の計算はできるのである。わざわざパソコンを使う計算となると、プログラムを組んでシミュレーションをしたりすることのほうが多いのではないかな?「計算マニア」ならともかく、かなり高度の物理の計算などでも関数電卓でも間に合うことが多い。せっかく優れた機能を有する「カルキング」が「計算ソフト」という狭い分野に特化するのは残念である。できれば、「カルキング+MathNote+簡易作図」(化学の構造式なども描けると最高!)の路線を目指していけば、「科学総合ソフト」をいう今までにはない分野を開拓できるのではないか?と期待している。そうなったときに、ぼくも数学や理科の同僚・友人・理工系の後輩たちに自信をもってそのソフトを推薦できるとおもう。現時点での「カルキング」も「MathNote」も数式・計算ということにあまりに目が行過ぎて、日本語(当然英語などでも)の中で科学的な文章を作ってゆくという大切な視点に欠けてはいないか?という疑問を感じている。「何のための計算か?」「何のための数式か?」という素朴な疑問である。ぼくが考えることなどだれでも考えることであろうから、すでにそういうことは十分に議論されて「カルキング」なりが作られているのだとおもう。しかし、すでに3年ほど使ってみて素直に上に述べたような感想をもっている。

 当分の間は、数式ワープロとしては「MathNote」を、計算・グラフなどの用途には「カルキング」をと使い分けていこうと考えている。しかし、両方合わせても30MBにも満たないシンプルなソフトなのだから、統合して使いやすくしても50MBほどで済むのではないだろうか?ぼくは、その日を楽しみに待ちながら両ソフトを楽しみながら使っていきたいと考えている。

 最後の最後に、「でも、ぼくは両方のソフトとも大好きですよ!」と言って、この文章(べつに宣伝を意図してはいないぞ!)を本当に終えたい。(^_^)/~

 しかし、暑い(~Q~;)。

 2000/08/07(月) 21:12

■Math Noteのその後

 現在(2003/04/02(水))の時点で、「Math Note」はバージョン1.42になっている(昨日、1.42版がアップされた)。すでに、かなり前から「Tex」への出力をサポートしていたが、何とバージョン1.40からはHTML形式への変換もできるようになり、数式をホームページなどへ載せたい人の要望にも応えたものになった。この機能はわたしもずいぶん望んでいたものだが、どのような形で実現するのかと思いもつかなかったので、作者からのバージョンアップのメールが来たときには、正直驚いた。このHTML形式への変換機能は、教科書会社の数研出版(チャート式などで有名)から教員対象に「WebMath-ter」という名前で発売されたソフトにもついていた。これをわたしも購入したが、使い方がむずかしくて、結局インストールをしたが削除してしまった。値段もけっこうした。使い慣れた、「Math Note」でこれができれば最高だよなと思ってはいたが、作者に要望ばかりいうのも躊躇され、とくに要望のメールなどは送らなかった。今回の1.42では、この機能もさらに強化されている。そういう機能をつけても、ダウンロード時のファイルサイズは1.4MBほどなのだ。インストールしてもじつに小さいソフトなので、軽快に動く。これが、最高の魅力である。まだ、これを使ったページをわたしは自分のHPで公開はしていないが、構想を練りながら、少しずつアップしていきたいと考えている。

 HTML文書の中で、数式を載せてゆくのはじつにむずかしいことだ。パソコン通信時代からNiftyserveの物理フォーラムなどでときどき発言していたときには、数式をあらわすときに既存の記号などを使って苦労してその式に似たような表示をして、かろうじて雰囲気だけを出して、いろいろな議論をしていたものだ。HP上で数式などをそれほど苦労せずに表現できるとなると、これは大いなる朗報である。もう、数式などを使ったむずかしい議論にはついていけそうにもないわたしではあるが、かゆいところに手の届かないような議論をしているなら、数式をバシッと示してもらったほうがわかりやすいのは、理の当然。今ほど、作者のオータム西野さんがSampleに入れているファイルを使って、HTMLのファイルに変換してみたら、最初表示でおかしいところがでてしまった。これは、表示にAT*という2つのフォントファイルが足りないためだとわかっていたので、それを追加して、IE6.0で表示してみたら、きれいに表示された。数式をHTMLでこんなにきれいに表示できるのははじめて体験した。なお、わたしが学校のマシンでつかっているIE5.0では、表示がずれてしまってダメなこともわかった。IE5.5以降なら大丈夫だ。

 これで、わたしが「MathNote」に望んできた機能は、ほぼ満たされた。この段階でも、ダウンロード時のサイズが圧縮されていて1.4MBほどであるから、じつにコンパクトに出来ているかがじっかんできる。もちろん、起動するのときも、通常のテキストエディタと同じくらいに高速である。作者のオータム西野さんの努力と力量に頭が下がる。現在では、シェアウェアの値段も多少値上がりしているが、通常のソフトに較べたらべらぼうな安さである。わたしは、バージョン1.09(2000/07)から使っているが、このソフトは2000/02/09にはじめて公開されたので、ほとんど初期から使っているといっていいと思うけれど、小さなサイズで、軽快に動く「科学文書作成ワープロ」がとうとう完成の域に達してきたことを実感している。このコンセプトを守り続けて、すばらしいソフトに仕上げてくれるよう願っている。一人のユーザーとして、このソフトの成長は本当に心からうれしい。

 なお、このソフトは、わたしのHPのリンク集からもすぐにアクセスできるサイトで入手できる。また、Web上できれいに表示するためには、「AT MathSym1」と「AT MathSym2」の2つのフォントが必要だが、これも同じサイトから入手できるので、インストールしておけば、きれいな式や図を見ることができる。ある程度の試用期間操作してみて、使いやすいと思えば、Vectorなどのシェアウェアレジを使って送金すれば、ライセンスキーがもらえる。あとは修正版を自由にダウンロードして上書きインストールをしてゆけば、いつでも最新のソフトとして使える。わたしの周辺には、このソフトを使っている人はいない。シェアウェアの費用も、初期の頃に較べれば、だいぶ値上がりしているが、この性能を考えると決して高いとは思わない。むしろ、おおらかな使用規定で、使いやすいとわたし自身は満足している。この紹介は、宣伝ではないので、あくまでもいつも使っているものとしての、使用感を述べたものである。使う、使わないは、それぞれの人が自分で試されて決めればいいことだろう。ただ、理工系の方で、数式を多用することの多い人には、ぜひお勧めしたいソフトである。

 2003/04/02(水) 15:43

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