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icon0418.gif2001年

==活字本==
「大魔法使いクレストマンシーシリーズ」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ/徳間書店
「クリストファーの魔法の旅」
魔法使いクレストマンシーシリーズ(?)の、これは2冊目にあたるらしい。命が九つある特別な大魔法使いクレストマンシーの少年時代のお話と言うことなのだが、わたしはそもそも、まだ大人のクレストマンシーを読んでいないからな〜。この話を読むきっかけというのは、とある読書系サイトでの感想だったんだけど、それ以前に、かつて読んだこの作家の本が印象に残っていたというがあります。それは「九年目の魔法」という作品で、図書館で読んだ数年後に本屋で見つけて迷わず購入してしまったのでした。現実と魔法世界の境界があいまいな、なんとも不思議な作品で、その“いつの間にか”は「クリストファーの魔法の旅」でも同じ健在でした。

「魔法使いはだれだ」
大魔法使いクレストマンシーシリーズの、これが第1巻。魔法が禁じられ、魔法使いは火あぶりになる世界の寄宿学校で、「このクラスには魔法使いがいる」というメモが見つかった。疑われ追いつめられた子供達は、古くから伝わる助けを呼ぶという呪文「クレストマンシー」を唱えた。するとお洒落な男が現れて……。
“子供達”と書きましたが、この子供達は仲良しどころか協力すらいやいやです。おもに5人なんだけど、それぞれクラスでいじめられたり無視されたりしているので、結構偏屈な性格。この児童小説より日頃お気楽に読んでいるジュブナイルの方がずっと甘甘なんだと思い知らされました。子供の性格は可愛くないし、子供同士の関係は容赦なく残酷。だけど決して説教臭くないのは、これが本当の子供の世界だからなのかな?それに、かわいくない連中だけど、やっぱり早くまっすぐ元気になって欲しいと思うし、ストーリーはスリリング。
しかし、このクレストマンシーの少年時代がアレなのか。この作者の描く子供は意固地だねえ。でもある瞬間、世界が逆転するかのように彼らの見ていた影も、出来事も、別の意味と姿を見せるのにゾクゾクさせられます。そこが、この作者に惹かれる理由かな。偏屈な子供の性格も、みるみるうちに変わっていって気持ちいい。

「魔女とくらせば」

「魔法使いハウルと火の悪魔」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ/徳間書店
ハウルの動く城シリーズ1。帽子屋の長女で18才のソフィーが荒地の魔女に呪いをかけられ、おばあさんにされます。そこで呪いをといてもらおうと家を出て、悪名高い魔法使いハウルの城に掃除婦としてもぐりこむ…。城の暖炉には火の悪魔がいて、ハウルに力を提供しています。そのうちにハウルもまた荒れ地の魔女に狙われているとわかります…。
なんだかこのお話はピースの多いパズルのようで、ぼんやり読んでいると色々な関係がわからなくなってきます。これ本当に児童書なの?すごいんですけど。クレストマンシーはダンディーな大人でしたが、今回の魔法使いハウルは若くて軟派。そしてソフィーは18才の時より、老婆になってからののびのびとした(よく言えば)言動に笑ってしまいました。しかし、読み直さないとわからないままのことが残ってるよ。結末が気になってストーリーを追うのを優先したら謎が残っちゃったの

「きんぴか 全3巻」浅田次郎/光文社文庫
ピカレスク物ですね。面白かった。元ヤクザ(鉄砲玉)のピスケンと、元自衛官の軍曹と、元政治家秘書(大蔵省キャリア出身)のヒデさんが、退職した刑事に呼び集められ、それぞれ遺恨を抱く相手に仕返しをする。そう。“復讐”と言うよりは“仕返し”なんだよね。そのあたりが重くない理由なんだろうか?
2巻…インターバルという感じの短編でした。大きな事件もなくのほほんとしているけど、こういうのも好きだ。ところで、そもそもこのきんぴかシリーズに手を出したのは、プリンズン・ホテルに出てきた救急センター看護婦長血まみれのマリアがこちらにも出ていたから。
3巻…3+1人の砦はゆるやかに解体。分裂などではなく、それぞれがまた新しい道を歩み始めたというだけのことなんだけど、もの悲しいなぁ。広橋秀彦の元妻の新夫と、武器・車輌を借用した軍曹の活躍のエピソードが印象的。

「華胥の幽夢」小野不由美/講談社WH文庫
十二国記の短編集。これを読むと、シリーズの行方は、世界の王―麒麟システムへの疑問提示となんらかの答えになるのだろうか?と思えてきます

「女刑事音道貴子 花散る頃の殺人」乃南アサ/新潮文庫
「凍える牙」の女性刑事音道貴子が主人公の短編集。6編入り。それぞれに味わい深いですが、話によってこちらにしみいる点が異なり(当たり前ではあるんだけど)、事件そのものの場合と、道子の暮らしぶりや心情の場合があります。後者は30代の独り暮らしだからこそなんですが。

「プリズン・ホテル 全4巻」浅田次郎/集英社文庫
随分前にTVドラマ(単発の方)を見て大笑いをしたので読んでみたかったのです。

「ラプソディ -血脈の子・上下巻」エリザベス・ヘイドン/早川FT文庫

「失踪HOLIDAY」乙一/角川スニーカー文庫
併録の「しあわせは子猫のかたち」がなんともいい話でした。前の住人が残した猫と暮らす孤独な青年の話。痛みと希望がなんとも…。もちろん表題作もよかったです。この人うまいなあ

「死神見習い修行中!」樹川さとみ/角川ビーンズ文庫
面白くて気持ちのいいお話を読めて幸せです。樹川さんてバランス感覚がいいなと、ふと思いました。短所として捉えれば、手堅くまとめすぎているという見方もできるだろうけど、今作くらいの思い切りの良さはわたしには○。ちょっと物足りないくらいなのが美味しく感じるコツでしょう。(アノ人とかアノ人みたいに思いついたこと垂れ流し書きは勘弁してくれということで)。あ、もっとも同じ不足でも、説明不足はイカンけど。そう言う面では、マスターについてはやや説明不足かな?
あらすじ?叔父によって死神の元に売り飛ばされた少年が、怪しいマスターの元で、押し掛け死神志望の少女と共に喧嘩をしながら死神修行をしていくお話。わたしが気に入ったんですからドタバタ修行コメディではありませんぜ

「エヴァリオットの剣 わが王に告ぐ」高殿円/角川ティーンズルビー文庫
「マグダミリア三つの星」の続編。前作はシリアスだったけど、これはラブコメ。面白かったです。アンナマリアが最高だね。最初はティーンズノベルにありがちな単なるお騒がせ娘かと思ってうんざりしたけど、ちゃんと成長したわ。ここら辺て作者の性別によるんでしょうねぇ

「スピリット・リング」ロイス・マクマスター・ビジョルド/創元推理文庫
面白かった。翻訳物では久しぶりに、通勤時間外=自宅でも読みふけってしまいました。これ、裏表紙や扉に載っている粗筋とは結構違う話でした。粗筋見た時はフェミニズム臭強いのかな?と思っていたけどそんなことなかった。……いや、あるのかもしれないけど、声高に主張するあからさまなものではないので○。わたしはなんであれ“さりげなく”が好みなもので

☆注目シリーズ☆
「陰陽ノ京」渡瀬草一郎/電撃文庫
平安時代を舞台にした陰陽師モノだけど主役は安部晴明ではありません。師匠賀茂忠行の息子の保胤が主役。史実では彼は陰陽師じゃなく文官となったらしいし、この話でも文官の勉強をしているんだけど、鬼退治系の技もふるうわけです。出だしで一瞬けっつまずきかけたけど、読みやすいしなかなか面白かったです。保胤が心優しい人で個人的に好感度高いです。あと、もちろん安部晴明も出てくるんだけど、こちらは中年の狸オヤジ風でこれまたいい味です。きちんと話(事件)は終わっていますが、2,3の登場人物には「まだまだ設定が用意されてまっせ〜」というアピールを感じたので、シリーズ化を意識しているんだろうなあ。されたら買うけどさ

「捨て猫王女の前奏曲」榊一郎/富士見ファンタジア文庫
スクラップド・プリンセスシリーズ。16歳になった時に世界を滅ぼすと予言され、生まれてすぐに闇へ葬られた「廃棄王女」。カスール3姉兄妹の末の妹・パシフィカは、実はその「廃棄王女」で、その生存に気づかれた時から彼女の命を狙って、国や教会が刺客を送り込んでくる。倒された父に代わり、兄シャノンと妹ラクウェルは刺客の手から妹を護る決意をする。兄妹愛モノ…と言って言えないことはなさそうです。パシフィカがあまりかわいげがなくて小憎たらしいところなんか、本物の妹という感じです。それでいて実際にいたら見捨てる!てなほどデフォルメされていないのが微妙な匙加減とうかがわれます

☆様子見シリーズ☆
「パラサイトムーン 風見鶏の巣」渡瀬草一郎/電撃文庫
これはシリーズ化をにらんでいるんでしょうね、やっぱり。面白かったんだけど。シリーズとなったら買い続けるか微妙かもしれない

「武官弁護士エル・ウィン」鏡貴也/富士見ファンタジア文庫
第12回ファンタジア大賞準入選作。『なりゆきで武官弁護士エル・ウィンの秘書にさせられてしまった亡国の王女ミア。ドキドキ・ワクワクの新世紀ファンタジー』というあおりです。うむ。そのまんまだな。ミアがいやいや→のちに恋するエル・ウィンはかなり無敵タイプ。この手のは大概シリーズが進むにつれて強さのインフレが起きるものですがこれはどうなんでしょうね。語り手が16〜17の明るい(含む:脳天気でオツム軽くて多くは強引)少女というのもお約束すぎ。なんか予定調和=水戸黄門のように安心して読めるわな。しかし武官弁護士という設定がなかなか面白いです。平然と竜やら死神やらの弁護依頼を受ける所も楽しい

「幽霊は行方不明」矢崎存美/角川スニーカー文庫
霊が見える体質の少年がマイペースな姉に引きずられて殺人事件を追う羽目になるお話。姉の方は占い師志望なんだけど、微妙にかすめる当たり具合。彼女のおかげで基調は明るいコメディ調なんだけど幽霊やほんのり初恋やらをからめ、最後にホロリとくるのはこの作者の味なのかな?個人的に興味があるのは和服刑事。なかなかいいぞこの人。シリーズになりそうなので楽しみです

☆再会☆
「ぶたぶたの休日」矢崎存美/徳間デュアル文庫

「黄昏の岸 暁の天・上下巻」小野不由美/講談社ホワイトハート
十二国記新刊!じっと我慢のホワイトハート待ちの甲斐あり、山田さんの挿絵がやっぱりいいぞ!オールスター的豪華さにも嬉しくなってしまいます
「魔性の子」を寸前に読んでいたのが功を奏し、泰麒ネタがよく理解できました。しかしこれ、読んでいなかったら“穢れ”についてかなり漠然としかとらえられないかもしれないと思いました。短編の「冬栄」もいいタイミングで読んだらしい

「草原の椅子・上下巻」宮本輝/幻冬舎文庫
わたしにしては珍しい、SFでもファンタジーでもミステリでも時代物でもない小説。そもそもこの作家を読むの初めてだったものね。しかし数年前に新聞で連載されているときからいいなぁと思っていた話なのです。本になった時、ハードカバーでもいいから買ってしまおうかと真剣に迷ったほど。なんというか“心映え”というものを考えさせられる話なのです。トーンは前向き。二十代だとまだちょっと実感できない部分があるかな?ん〜〜でも五十歳前後の男性が主人公なのに、三十代のわたしが感じ入っているんだからそんなことないか。二十代というくくりではなく、学生や税金を払ったことない人にわからないかもしれないな
どういう心で生きていこうか、とあらためて思う。いつの間にかわたしは貴志子さんの年齢に近づいてきていることを思うと人生の密度を考えてしまいます

==マンガ==
「カルバニア物語」TONO/徳間書店キャラコミックス
参考にさせていただいている読書系サイトである有里さんの仮想書店 エレホン堂で紹介されていて、気になったので購入。この作者の本は別の作品を読んだことあったのも下地にある。中世ヨーロッパ風世界の王国カルバニアを舞台としたコメディ調短編シリーズ。でも王国の初の女王タニア(キュート!)や男装の麗人である次期公爵エキュー(カッコイイ!)を中心とした話のせいか、女であること男であることの意味をさりげなく問いかけてくるようなエピソードが多い。個人的には好きだけどね、こういう女性の精神的自立を軽やかに扱ったお話

「ガートルードのレシピ」草川為/白泉社
新人の初コミックスという奴です。新人ならではの勢いってあるよなーと思いながら読了。このテンポの良さは、読み切りで一作一作が生き残りの勝負!という時期ならではなのかなぁ?

「SWEETデリバリー」鴨居まさね/集英社Youコミックス
手作りウェディングの企画会社のお話。思えば小学生の頃から職業モノマンガが好きです。柴田あや子のアナ ウンサーものとか美容師モノとか好きでした

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