2002/04/06 (Sat) チャーリー・ガール
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これも明るく楽しいミュージカル。
辛口で言うなら、明るく楽しいだけのミュージカル。ツッコミどころも多々。
でもわたし、これ好きだ!
可愛くてあたたかい舞台。
あれこれアラがあろうとも、劇場を出た時にハッピーな気分でいられると言うのは、今どき貴重だと思います。

【突っ込みつつストーリー】
ハドウェル伯爵夫人(初風諄)は亡き夫から豪壮な邸宅、「ハドウェル・ホール」を引継ぎ、その維持費を稼ぐために観光客に解放している。
伯爵夫人の末娘、シャーロット(愛称チャーリー:愛華みれ)はクルマのメカをいじることの好きな活発な女の子。男性に対して臆病で、発育不良と姉二人(ペネロープ:春風ひとみ、フィオーナ:植田チコ)にからかわれている。もっともチャーリーだって恋愛には憧れており、「その時が来たら、ベルが鳴る」と思っている。
そんなチャーリーを影からひそかに見つめているのが「ハドウェル・ホール」 の管理・運営を一手に任されているジョー・スタッドホーム(錦織一清)。以前からチャーリーに思いを寄せているのだが、身分違いと好きな子の前ではあがってしまう性格のせいで、彼は打ち明けられずにいた。

ある日のこと、ジョーはサッカーくじで大当たりを取り、高額賞金獲得の権利を得た。しかし、チャーリーが金持ちの男を嫌っているのを知るジョーは、賞金の受け取りを拒否して、はるばる彼を訪ねて来たくじ会社のウェインライト(太川陽介)は大弱り。
「一週間待ってくれ。その間に告白するから」*1 と言うジョーにウェインライトは渋るが、ジョーと会う寸前に見かけて一目惚れした女性が伯爵家の次女フィオーナと知ると、その一週間自分をお屋敷においてもらう(とりあえず執事役として)という交換条件でOK。

伯爵夫人の大親友で、アメリカの石油王の未亡人、ケイ・コナー夫人(森公美子)が息子のジャック(鈴木綜馬)を連れて現れた。ジャックはシャンパンと女の子なしの生活は考えられないというプレイボーイ。コナー夫人はこの息子と伯爵家の三令嬢のひとりとを結婚させるつもりでいた。億万長者との縁組みは、ハドウェル伯爵夫人にとっても望むところ。
ジャックの好みはショーガールタイプの軽い女の子(と言うか“おねーちゃん”タイプだな)で、イギリス貴族の娘などお固くてごめんなのだが、母親達は「子供達の意見など聞かないわ」とスクラムを組む。*2 もっとも、ウェインライトに一目惚れされたフィオーナは、実は頭の禿げた男にしか興味がないのだが、長女のペネロープはジャックに興味津々。

さて、やたらに軽く、調子の良いそのジャックを、こともあろうにチャーリーが一目ぼれし、母親たちが催すパーティーに出席することにする。けれども持っていたドレスはバイクのサドルを新調するために質屋に入れてしまい、着るものがない。「俺にまかせておけ!」と、ジョーがドレスの調達を請け負うが、後でチャーリーの心変わりの原因に思い至って気落ちする。*3

パーティーが始まったが、チャーリーのドレス(ジョーは映画用の貸衣装屋で調達)はまだ来ない。彼女はジョーに八つ当たりをし、ジョーは「金があったって好きな子にピラピラのドレス1枚着せてやれない」と、賞金受け取りをすすめるウェインライトに八つ当たり。* ここの「金なんかいらない♪」というナンバー好きです!
でもチャーリーはすぐにジョーに謝り、そこにドレスも届いて急いで着替える。それまでオイルまみれのつなぎにメガネ(ど近眼)という姿のチャーリーが、白いドレスで大変身。*4
母親に貴族の娘をたらしこめと尻を叩かれてうんざりのジャックが、どういうわけかこのチャーリーに興味を示してしまう。*5 彼女の方はもとからジャックに一目ぼれしているのでいい感じにもりあがり、二人はしっぽりと(ジャック談)あずまやに。
このあずまやを紹介し、シャンパンを運ばされるのが使用人の立場のジョー。*「泣ける仕事だぜ」の台詞が同情を呼びます
そうは言ってもヤキモチを焼いているジョーは、シャンペンのコルクをジャックに投げつけたり、嘘の呼出電話を取り次いだりして邪魔をするものの、二人の仲は着実に進展して、ついにジャックがチャーリーにキス。しかしチャーリーはベルが鳴らない!」とショックを受ける。「わたしのやり方が間違っているのね。勉強してきます〜」とジャックから逃げ出し、これまた別のショックを受けるジャック。*6
この後、チャーリーとジャック抜きのパーティー会場で、ジョーによる大ナンバー「フィッシュ&チップス」があって*7、チャーリー&ジャックが復帰。そこへ貸衣装屋がタイムリミットだと言ってドレスを取り戻しに現れる。ジョーが仕方なしにチャーリーに伝えると、彼女はドレスを脱いで下着姿になってしまう。ジョーはうろたえるが、面白がってダンスを続けるジャックとチャーリー。そんな二人に刺激されたかのように、並み居る貴族の娘達も皆下着姿になってダンスが始まり*8、母親達の嘆きをよそにパーティーは大賑わい。

一方、気落ちした(んだか、自己嫌悪に陥ってるんだかの)ジョーが、告白の練習台にして以来馴染みになった石像の足元でたそがれていると、ハドウェル伯爵夫人が通りかかり、事情を聞かれる。実はお嬢様であるチャーリーが好きなのだが彼女はジャックが好きだから自分は屋敷を出ていくと言うと、夫人は「やってみなくては何も始まらない」と励ます。*9
伯爵夫人の応援を受けたジョーは、中庭のベンチで休んでいるチャーリーの元に赴く。だけどいざとなるとやはりしどろもどろで逃げ腰。木陰で様子をうかがう伯爵夫人に何度も押し戻され、あげくのはてには「アイ・ラブ・ユー……だってさ!」と伝聞調で告白する始末。こちらも鈍いチャーリーは「ふーん、誰が?」とまるで人ごと。結局、どうしてもハッキリ告白できないジョーは、諦めて(?)「お屋敷を出ていく」と言いだす。*10
少しでも引き止めてくれるのかと思ったら、「そ。じゃ。サヨナラ。元気でね!」とあっさり握手を求めてくるチャーリー。ついでのよう何気なくジョーにキスをしたその時、ベルの音が♪片思いをしていたジャックの時にも鳴らなかったのに!(大笑い)
自分の不甲斐なさとチャーリーのドライさに吹っ切れちゃったのか、ジョーはキスされても割と平然と「じゃあな、元気でな!」と背を向けるが*11、今度は熱心に引き留めるチャーリーにつかまってキスをすると、またベルが鳴り響く。そうしていきなりジョーはチャーリーの「運命の人」になってしまい、ハッピーエンドになだれ込む。
気がつけばジャックはペネロープとの結婚を決めているし、ウェインライトは父親が31でハゲになったと告げてフィオーナのハートを射止める。
ハドウェル伯爵夫人は喜びながらも「結婚式の費用をどうしましょう?」と心配するが、ジョーがウェインライトに頼んで、くじの賞金を夫人との共同名義にしてもらったため、こちらも問題解決。
四方丸く収まる、古き良きハッピーエンドでありました。

【第一次感想】
まずは……
楽しいぞ〜!ということで (^^)
「ミー&マイガール」や「エニシングゴーズ(亜門バージョン)」を見た後のような幸福感がある舞台でした。
いい作品か?と問われれば、決してそうは言えないと思うのですが、笑顔で劇場をあとに出来るのが嬉しい限りです。
この幸福感は、単純なハッピーエンドストーリーということもあるだろうけど、役者さん達が楽しそうにやっているのも大きな要因だと思います。
本当に楽しそうなんだ。
特に鈴木綜馬さん。
あっかる〜いアメリカンプレイボーイを思いっ切り気障に演じています。
いちいち芝居掛かった大きなアクションは、ジョーをして「動きの変なアメリカ人」と言わせます。ライトからはずれた舞台端でも何やらやっているし、どうしちゃったの鈴木さん?という状態です。そしてわたしもそれを目の端で追っているわけだし……
ケイ・コナー夫人の森公美子さん、ハドウェル伯爵夫人の初風諄さん、ニコラス・ウェインライトの太川陽介さんは、安心して見ていられるので思う存分笑えます。
そういう点では、主役の二人にはなんだかハラハラしました。
声は硬いし、演技も固い?
一生懸命さがわかるということは、余裕のなさが露呈していることでもあるのですねー。
ことに愛華みれさんの場合は、チャーリーの表現に一部?マークでした。
それは、なんであんな声で演じるんだろう?と言うこと。
宝塚男役を卒業しての第一作となれば、どのタカラジェンヌも女になりきれていないものらしいですが、だからって相当無理して“女の子”を作っているようでした。
そりゃあ、16,7才の若い娘役だけど、子役のアテレコをしているかのような声を使うのはどうよ?かなり作ったオンナノコっぷりでして、もうブリブリぶりっこです。
1幕のチャーリーはボーイッシュで、オイルまみれのつなぎが衣装ですから、もうちょっとトーンを抑えてもよかったのでは?と思います。
まあ、うっかり押さえると今度は“男役”になってしまうのかもしれませんが。
2幕になると観るこちらが慣れたのか、ドレスで舞い上がっている設定だから違和感が減じたのか、甲高いブリッコ台詞も聞き流せるようになっていました。
けど、やっぱりなんか変よ、あの声は……。
錦織一清さんについてはジョーの人物造形に?マークでした。
つっこみストーリー紹介でも触れていますが、チャーリーに対する立場や気持ちが場面場面で微妙に異なっているようで、どうも見ている側の混乱を招くのです。なんだか中途半端なの。
そして、お話自体もなんとなくバランスが悪いように思えました。たぶんそれはジョーの造形と関係があるのではないかと思います。ここら辺は、次の感想時にでも。
しかしまあ、全体的に見ればとても楽しい舞台です。



*1 この一週間という前提がそもそも?なんだけど、ここでつまづくと、この先の話が?マークだらけになってしまうので、そういうもんなんだと無理矢理納得しておく。わたしがこじつけた理由は「ジョーは、自分で自分を追い込まないといつまでたっても告白できないだろうと薄々感づいていたので、勢いをつけることにした」です。だって今までだって告白のチャンスなんていくらだってあったはずだもの、なんで今さら一週間? 戻る

*2 ここのデュエット&ダンスが素敵です。初風さんは結構年配(初代マリー・アントワネットだったかと)なのですが、歌って踊る。そして森さんもパワフルに踊る。森さんはこのすぐ前の場でも息子のジャックとバトルデュエットしているので、大変なんじゃないかと人ごとながら思います。この翌日のシーンで、二人は二日酔いになりますが、ウェインライトにそそのかされて挑むヨガも見物です。だるまさんのように転がるモリクミさんが笑いをとりますが、その隣で淡々とポーズを決める初風さんの身体の柔らかさには脱帽です。すごい! 戻る

*3 ジョーはこれ以前に2回チャーリーに告白しようとしているのだけど、その優柔不断なウジウジっぷりと、ドレス調達時の「なんでもやってやるから、俺にまかせろよ!」と強気な態度が、どうもチグハグに感じられてなりません。あんたシャイな性格じゃなかったの???
後で、どうやら二人は幼なじみなのでその気安さだったのかとわかるんだけど、最初にチャーリーと口をきくだけで大喜びしているシーンがあるので、頭が混乱します。設定と伏線はきちんと時系列に並べておいて欲しいなあ。ちなみにウジウジっぷりは、「愛している・愛していない」と風船を割ったり、階段の石像相手に告白の練習をしてキスまでしてしまうあたりで発揮されています。告白ではなくキスしているところだけをチャーリーに見られてうろたえるのもお約束? 戻る

*4 チャーリーはジョーに、ドレスを用意してくれたお礼に最初に踊って欲しいと頼み、二人はワルツを踊ります。踊っているうちに舞台がパーティー会場へと移る演出はテンポがよくていい感じですね 戻る

*5 ここはもう物珍しかったから、としか思えない。だってニューヨークでにジャックの好みはモデルや女優の卵ばかりなんだし、ドレスを着たからってチャーリーがそんなにねえ……。ああ、でもパーティー会場に着いたらいきなりチャーリーもてまくっていたし、ジャックが「君は大西洋のこっち側で一番キュート」などと言っていたっけ……しかし「ミー&マイガール」ラストシーンのドレスアップ・サリーほどの感動はなかったのです 戻る

*6 このあたりはもう大笑いです。ジョーのコルク投げの間と言ったら絶品!で、錦織さんのコメディセンスの良さが光ります。このコルク投げシーンでは男性客の笑い声が他より大きくて、どうやらこれは男性の強い共感を呼ぶ行動のようです。チャーリーの純情おとぼけにも素直に笑えるし、ジャックのプレイボーイぶりも炸裂。チャーリーに逃げられて「僕が振られるなんてまさか!」とショックを受けても、手鏡を取り出して「僕の魅力に逃げ出したんだ」と歌い踊って復活のジャック。嫌味にならずにただただ笑えるのは、鈴木さんの役作りの勝利でしょうか 戻る

*7 ストーリー上はなんの意味もないナンバーなんだけど、これがめちゃくちゃ楽しいのです。「ミー&マイガール」で言うなら「ランベス・ウォーク」にあたるのかなあ?(あちらほどピシッとストーリーにはまってないし、観客を巻き込む勢いもイマイチではありますが)一番盛り上がるナンバーです。ニッキのジャグリング付き。あえてここで辛口のつっこみをするなら、ジョーはこの前のシーンで、ジャックとうまくいってウッキウキのチャーリーを見ていられずに逃げ出したくせに、なんで楽しそうに歌い踊るのか理解に苦しむよ、ってところでしょうか。このシーンに限らず、どうもジョーの気持ちに一貫性が不足しているんだよなー 戻る

*8 このランジェリー・ダンスシーンでは、中央で踊っているにも関わらずチャーリー&ジャックペアには目がいきません。それよりも、その脇で踊っているペネロープお姉さまに釘付けです。だってスリップ姿のチャーリーは色っぽくないんだもの。対するペネロープお姉さまの色っぽいこと!スタイルも抜群なんだけど、ええとあれはなんて言う下着なんだろう?(あんな色っぺーの着たこともないので名称がわからない)ロングラインブラジャーというか、ブラ+ウェストニッパーと言うか、それとショーツ。そして決めては長い手袋ですね。露出度の高さはブラ+ショーツのお嬢様の方が上なんですが、そこまで行くとただのビキニの水着にしか見えないから、むしろなんとも思わない。やはりペネロープお姉さまがダントツに色っぽいのですわ。パーティー後にジャックがふらふらついて行ってしまったのは、そのせいでしょう(笑)戻る

*9 このシーンのナンバーも好きですね。なんというか、ジョー(というよりニッキがなのか?)は、チャーリーより伯爵夫人とのデュエットの方がお似合いです。妙にしっくりくるんだ 戻る

*10 この情けない告白シーンは、公演を重ねるほどにわかりやすくなっていました。つまりオドオドっぷりが増していて笑えたってことだ。ひっくり返った声や、くじけて逃げ出そうとするのを伯爵夫人に押し戻される様子が絶品です。いつまでも右往左往して笑わせててくれ!と思ってしまうくらいに、情けなさ全開です。しかし、あれでチャーリーにわかれと言うのはちょっと無理な気がしないではない。ラブソングのフレーズをリフレインするならせめて、植木相手にイジイジとじゃなく、チャーリーの方を向いて歌っとけよな! 戻る

*11 ジョーのこの吹っ切れ方が、ちょっと唐突だなあ〜と感じます。*10 の告白シーンとセットですので、公演も後半だとまだましなんだけど、初日近くの舞台を見た時は「なんで?!」と混乱しましたね。あんなに好きで好きで仕様がなかったのに、なんでそんなにあっさりと立ち去れる?どうしてよ!?なのでありました。思うに、最初の頃は「吹っ切れてしまった」ジョーの心情というのが、

ちなみに、運命のベルの音はチャーリーにしか聞こえない設定です。舞台の演出としては、庭木や柱のトップ部分がなにげにベル型をしており、そこがベルの音に合わせてクルクル回ります。これは笑えます。でも馬鹿馬鹿しいと言うよりは、ほほえましさに笑っちゃう感じ。お話がお話だから許せてしまうのでしょうねえ 戻る

*12 戻る

シャーロット(チャーリー):愛華みれ、ジョー・スタッドホーム:錦織一清、ジャック・コナー:鈴木綜馬、ケイ・コナー夫人:森公美子、ハドウェル伯爵夫人:初風諄、ニコラス・ウェインライト:太川陽介、ペネロープ:春風ひとみ、フィオーナ:植田チコ

原作:ロス・テイラー
作曲作詞:ジョン・テイラー / デヴィット・ヘネカー
脚本:ヒュー&マーガレット・ウィリアムズ / レイ・クーニー
翻訳:丹野郁弓 演出:山田和也 製作:酒井喜一郎・古川 清

<帝国劇場 PM5〜7:55 休憩30分>

<前半二回目:4月7日PM5〜>