2002/07/14 (Sun) リトル・ヴォイス
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ミュージカルと言うよりは、音楽がキーポイントとなる現代劇なのでしょうか。
日本ではたぶん映画で認知されたと思いますが、舞台が先にあった作品です。

【ストーリー】
父親が亡くなってから、誰とも口をきこうとしない娘。消え入りそうな小声でしか話さない彼女に母親がつけたニックネームはリトル・ヴォイス(LV)。彼女の心のよりどころは父親が残したレコードの数々で、部屋に閉じこもって名曲を聴き、真似る事だけ。
母親のマリーは酒浸りの毎日で、LVと隣人のセイディにわめき散らす。
LVは偶然、やはり内気な電気技師のビリーと知り合い、おずおずと言葉を交わす。
一報、ある日マリーがひっかけた男、芸能マネージャーを名乗るいかがわしい男レイ・セイがLVの歌声に惚れ込み、彼女をステージに上げようとする。
人前で歌うことなどできないLVをレイ・セイは説得し、ついに彼女は歌い出す……

何が凄いって、これはもう池田有希子さんの歌真似ですね。
真似と言ったって、物真似タレントによるオーバーな物とは違います。
LVは大歌手の歌をそのまま再現してみせる能力がある、という設定なのですけど、文句なく演じてくれました。
舞台のBGMは、LVかマリーのかけるレコードです。
そのレコードを聞きながらLVがいつしか歌い始めるのですが、どこから生歌に変わったのかわからなかったです。
もの凄い練習量だったのだろうと驚くばかりでした。
引きこもり自閉症気味な性格ということで、芝居部分では影が薄いのですが、印象に残らないと言うのではなく、最後の爆発は強烈でした。
LVの母親マリー・ホフ、芸能マネージャーレイ・セイの山本陽子、江守徹のお二人は芝居で見せてくれます。
ちょっと小さめの劇場でやるリアルな芝居は、ほとんど見たことがないので、ある意味新鮮でした。
また、この二人のあくが強いからこそ、LVの「霞を食べて生きているの?」感が引き立つのでしょうね。
セイディの花山佳子さんも、しっかり印象に残っています。
おつむが弱くて肥満体の心優しいセイディ。花山さんは持ち味が陽性だからか、映画よりも明るい感じの造形になっているのだそうです。個人的には、それで救われた部分があるかもしれません。LVを取り巻く中年世代が全員毒々しかったら息苦しくてたまらなかったでしょう。
ただ、ミュージカル女優でもある花山さんが、ぼそぼそっと単語を並べる台詞だけだったのは残念でした。セイディが朗々と歌うわけにはいかないのだから、仕方ないんですけどね。
ビリーの大沢健……。可もなく不可もなく。かな。内気なのか積極的なのか、ちょっと分裂している役のように思えました。映画版も見てみなくちゃ。
ちなみに舞台版ビリーは照明が趣味ですが、映画版ビリーは鳩が趣味だそうです。映画なら戸外のショットをいくらでも入れられるからかな。

蛇足:熱帯JAZZのトランペッター松島さんがバンドに参加していました。<コンサートに行ったばかりなので見分けがつく
LVが歌うライブハウスのバンドで演奏出演。

マリー・ホフ:山本陽子、リトル・ヴォイス:池田有希子、セイディ:花山佳子、ビリー:大沢健、ミスター・ブー&電話技師:真名古敬二、レイ・セイ:江守徹
原作:ジム・カーライト“The Rise and Fall of Little Voice”
翻訳・演出:江守徹

<Bunkamuraシアターコクーン PM2〜4:45 休憩15分>