2002/07/16 (Tue) KISS ME KATE
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コール・ポーターの名曲にのって繰り広げられるミュージカルです。
劇中劇は「じゃじゃ馬ならし」

【ストーリー】
リリとフレッドは元夫婦。女優として、また俳優・演出家として同じ舞台で顔をあわせた二人は、元夫婦なだけに喧嘩のタネがつきず、舞台裏ではいつも喧喧轟々、言い争っている。
ある時、楽屋で二人が出会った頃の思い出話になり、なんとなくいいムードに。
しかし、浮気な男心からフレッドが若手女優のロイスに贈った花束がフレッドの付き人ポールの勘違いで“元妻”リリに届けられてしまう。
リリは、うきうきと舞台に出て行くが、お守り替わりにとドレスの胸元に入れたメッセージカードで真実を知ったリリは怒り心頭!なんと舞台を途中で降りてしまう。
困っているフレッドのもとに二人のギャングが訪ねてくる。ピストルを手に凄むけれど、どこかおかしなギャング達は、借用書をちらつかせ「金を返せ」と脅しにやって来たのだが、彼には身に覚えが無い。
実は若手男優ビルが、ギャンブルに負けて、借用書にフレッドの名をサインしたのだった。
フレッドは二人組に困惑していたが、彼らを利用して、リリを引き止める手を思いつく。
「リリが舞台を降りてしまうと興行収入が入らず借金を返すことができない。だからリリを舞台に連れ戻して欲しい」と頼むと、ギャング達は舞台衣装を身につけ、舞台上に登場してまでリリを見張ることにする。
辟易したリリは何としてでも舞台から逃げ出そうと交際中のハウエル将軍をワシントンから呼び寄せ、引き止めるフレッドの声も振り払い、結婚するのだと荷物をまとめ劇場から去ってしまう。

劇中劇は、言わずと知れたシェークスピアの「じゃじゃ馬ならし」のミュージカルバージョン。
舞台と、舞台裏。
役と、役者と、それをまた演じる役者。
二重、三重構造になっています。

【芝居&役者】
一路さんの爆裂歌唱に驚きです。もしもシリアスな「エリザベート」しか見たことがない観客だったら、唖然とするだろうなあ。
今井さん。男臭さはなかなか出ていたと思うのですが、演出家&ペトルーチオの、よく言えば奔放さ、悪く言えば我が儘勝手さはイマイチかな。
歌はもう二人とも、オペラチックなミュージカル歌唱とでも言いましょうか。声の力で圧倒する感じでした。
春風さん、沢木さん、本間さん、などなど。脇に楽しみなミュージカル俳優さんが多くいたのですが、物足りませんでした。まさに不足です。
もっと歌って〜踊って〜 という感じ。
ロイス/ビアンカの伊織直加さんは現役タカラジェンヌ(男役)。宝塚のヒエラルキーにおいて男役>娘役なのはわかっていますが、このお色気たっぷりな役を男役にやらせるのはどうかと思います。良くやっていたと思ったのですが、でも、「男役にしては」という言葉が頭についての感想だから、これ。最初からバーを下げての評価になってしまっています。もしも伊織さんが男役と知らなければ、良くやっているとは言えなかったように思います。
しかし、今年とてもお気に入りの「チャーリー・ガール」のヒロインと比べると、彼女の方が女っぽかったと思います。ええ。(女優として生きていく卒業生が、現役男役に負けてどうするんだ?という気がしますな)
同じく「チャーリー・ガール」から連続してお顔拝見の太川さん。役柄も同じような、笑いを取るものだったのですが、うーーん、不発だ。相方の伊吹さんのせいとも言い切れないから、演出の問題でしょうか?宝塚版で見た「キス・ミー・ケイト」でのギャングコンビはとても面白かった覚えがあるのですが。もっとも、ストーリー半ばまで「この二人はなんなんだろう?」と戸惑いを感じ続けるのは同じでした。この二人が道化役だと理解するまで時間がかかるのよね。
ビル/ルーセンショーの赤坂晃さんの見所は、手すりを鉄棒競技のようにどんどん登っていくシーンです。あれは凄い。

宝塚版は十数年前の上演なので、それ以来、久方ぶりに見た「キス・ミー・ケイト」。
しかも今回は男優がいる。
しかし。
どうも宝塚版の方が面白かったような気がするのは、過去の記憶が美化されているのでしょうか?
歌は、特にフレッド/ペトルーチオの歌は、絶対に今回の方がいいのです。でも舞台全体の印象が……なんだろう?一体感の違い?
舞台(というよりもカンパニーかもしれない)のまとまりが、なんだか希薄な風味なのでした。宝塚の組と、公演ごとの座組とでは団結力に差があるのは当たり前と言えば当たり前なのですが、同じ東宝の「チャーリー・ガール」の雰囲気がよかっただけに、作品の質としては絶対上の「キス・ミー・ケイト」にも期待してしまっていたのでした。たぶんね。

俳優名/役名:役者
リリ/キャタリーナ:一路真輝、フレッド/ペトルーチオ:今井清隆、ロイス/ビアンカ:伊織直加、ビル/ルーセンショー:赤坂晃、ハッティ:春風ひとみ、ポール:本間憲一、ギャング:太川陽介&伊吹吾郎、ハウエル将軍:沢木順

<帝国劇場 PM6〜8:55 休憩30分>