エリザベート〜愛と死の輪舞〜
本のデータ
| 年月日 |
1997年1月16日 |
| 書店 |
角川書店 |
| 著者 |
ミヒャエル・クンツェ原作 小池修一郎著 |
| 題名 |
私も組織の人間ですから |
| ジャンル |
小説 |
| 本の出所 |
S市立S図書館 |
宝塚歌劇団のミュージカルの小説版です。見に行きたかったのだけれどぼんやりしているうちに見逃してしまいました。関係ないけれど、日比谷の宝塚劇場ってトイレの落書きがちょっと……。
エリザベートは、バイエルンの狂王ルードヴィヒ二世の親戚にあたります。互いに鷹、鳩と呼び合う書簡のやりとりもしていたので興味のある人物でした。この一族は悲劇の一族で妹も非業の死を遂げています。そんなわけで死(トート)に魅入られている女性という設定は無理はあるけれども、気に入りました。エリザベートとトート以外の登場人物にあまり魅力がないのはご愛敬かも。
ハプスブルグ家に嫁ぐことになってから、たぶんエリザベート自身の悲劇は始まります。物語では、木から落ちて死にかけてトートに出会った時なのですが、直接的にはそうではないかと思います。特に、問題なのは嫁姑の確執でしょう。ゾフィー皇太后は、単に姑であるばかりではなく、過去のハプスブルグ家の栄華に固執しています。嫁姑だけでも面倒なのに、さらに政治や思想が絡んでくるとなると気の毒としかいいようがありません。王権がだんだん衰退していくという時代背景もありました。
美貌を武器にエリザベートは、特にハンガリーとの外交で活躍し、自分の立場を確立していくことでゾフィー皇太后の権力をも狭めていきます。また、自分のために生きるという自身の哲学で、トートの誘惑も退けます。こういう場面は普通は気分良く読み進められるのに、この小説の場合はエリザベートにとうしても危うさを感じてしまいます。トートの「おまえはきっと俺を受け入れる」という意味のセリフのせいもあるかもしれませんが。
悲劇の美学を追求しているドラマチックな小説でした。熟読すると、大袈裟なところが笑いを誘います。史実は史実として置いておけば、楽しめるという感じです。でも、舞台は評判よかったから、見たらこんなこと言えないだろうなあ。