カシスの舞い
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本のデータ 年月日 1997年2月22日 書店 新潮文庫 著者 帚木蓬生 題名 カシスの舞い ジャンル 医学ミステリー 本の出所 購入
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ハードなのにロマンティックでもある医学ミステリーでした。精神分裂病を生理学的に解明し、覚醒剤中毒の治療・研究に成果を上げているポロー教授の一派。しかし、彼とは対照的な人付き合いのよいムーラン教授に指示していた水野は、ポロー教授の病院に居心地の悪さを感じています。水野のセリフに「この病院は病んでいるよ。」というものがあるのですが、その謎が事件を絡めて物語の中で明らかにされていくのです。
頭部のない死体が、マルセイユの病院で発見されます。身元を調査中の知人から、かつてポロー教授の病院の患者にその候補がいるということを水野は聞き、事件に巻き込まれていくことになるのです。頭部のない死体の身元調査というと、いつだか火曜サスペンスか何かで見た『ビキニライン殺人事件』というドラマを思い出しました。女と生まれたからには、殺人事件の遺体にはなりたくない、検屍の時には最低限頭と体がくっついた死体でありたいです。随分横道に逸れましたが、結局のところなかなか身元がわからない死体となってしまうと、特に身体上のプライバシーがなくなるという残酷さ、それは「奴らは人間以下だ。」というセリフに凝縮されているのかも知れません。
ロマンティックの定義は、人によって曖昧です。ただ、この小説のロマンティックについて語ってしまうと、話の種明かしをうっかりしてしまいそうなので書けません。
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