総統の防具







本のデータ
年月日 1997年4月24日
書店 日本経済新聞社
著者 帚木蓬生
ジャンル 小説
本の出所 図書館








これを読むのに3日くらいかかりました。一昨日の更新が漫画ばかりだったのはそのせいです。昨夜、ようやくクライマックスに辿り着き、一人で泣いていました。帚木さんの社会問題絡みの話が好きです。細かいところで、実際的ではないという部分もないわけではないのですが、むっちゃん絶賛の小説です。

ドイツ人の父と日本人の母の間に生まれた香田という武官が、第二次世界大戦の頃、ベルリンに滞在した時の手記と、日本政府からヒットラーに送られた剣道の防具が、東ベルリンの建物の地下から見つかったことから、物語が始まります。ベルリンの正確な情報を日本に伝えられない、ドイツと日本ふたつの祖国が同じ道筋で戦火に巻き込まれていく、そして恋人一人すら救えない、そんなたくさんの苦悩が香田の周囲にあります。この本を読むまでは、なぜ自分が生まれてない時代に起こった戦争を半永久的に背負っていかなければならないのだろうと思っていました。でも、考えてみれば、自分自身の中にも、あの戦争を起こしてしまった日本人の心が宿っています。同じような状況に追い込まれた時、力を持たない一市民として戦争に抵抗できるだろうか?たぶん答えは否でしょう。抵抗しないことは、自分の過去の行動から容易に予測できます。そして、国家自体に、国際的な舞台でのヴィジョンというものが見えないことも、あの戦争の頃と変わらないのではないでしょうか?






読んだ本1997へ