幻鳥







本のデータ
年月日 1997年6月9日
書店 文春文庫
著者 藤沢周平
ジャンル 時代小説
本の出所 古本屋で購入








さる雑誌の藤沢周平特集で、完璧な小説と書かれていました。そこで、短編嫌いなんですが、買ってみました。本当に完璧という感触のある小説でした。表題の「幻鳥」は、解説をみないと全部意味がわからなくて、何度も読んでしまいました。

表題となっている幻鳥をはじめ、浦島、闇討ちなど深い味わいの5編の小説から成る短編集です。特に、かつて道場では三羽烏でもあった中年(当時じゃ老年かも)の友情をも描く「闇討ち」が好きです。私は男じゃないけれど、こういう友情を持ちたいと思います。特に、最後に酒を酌み交わしている時の、淋しさの表現がさりげなくてリアルです。感情というのは、いくら激しく揺れても、実際に現れる部分というのは小さなしこりのようなものなのではないでしょうか?

高校時代の文芸部の顧問の先生と、ぜひとも読後に話し合ってみたいと思いました。この先生は大変苦手でした。週に一回、本を一冊決めて読んで、批評会を開くのですが、何回くらいその本を読んだかすぐばれました。ゲーテの「若きウェルテルの悩み」は、激情の波に閉口して、解説だけ何個か読んでいったら、ばれて怒られました。「とにかく、全部通して一回で良いから読まなければ駄目だ。」と言われました。まあ今思えば当然のことですよね。あの頃、やっぱり今と同じくらいの量の本を読んでいましたけれど得たものはたぶん今の半分以下の効率だったと思います。それも、きっとばれていたんだろうなあと思います。厳しくていやだなあと思いつつ、先生の本や作家に対する姿勢はずっと尊敬しています。今の私の乱読を知ったら、嘆いてしまうかも。






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