2000年12月の感想
![]()
友成純一 『ローリング・ロンドン』 扶桑社文庫 2000年12月02日 (古本)
- どこぞで洗脳されたのか、見つけると読んでしまう友成純一の本。官能猟奇以外のは初めてだ。ロンドン滞在中の本音を語るエッセイで内容自体は面白い。しかし、常体の中に、突如出現する敬体で、読んでいる私はリズムを崩されっぱなし。特に読者に訴えたいところが敬体なのかと深読みしつつ、ちょっと疲れてしまった。
中山可穂 『猫背の王子』 集英社文庫 2000年12月03日 (購入)
- なんとなく買ってみました。買うのではなかった。どうも、性愛がテーマで登場人物が青春時代であったりすると理解不能。恋愛を否定するわけじゃないけど、生活とか将来の問題のが優先順位は先だったし、これからもそうかもしれない。「そういう問題を忘れて性愛に溺れるほど、解決困難な問題に直面してないんじゃない。」って言われたら、 「おまえこそ、恋愛にかまけてられるような問題にしか直面したことがないんじゃない。」と返したくなるのは負け惜しみなんだろうか。まあ、それも人それぞれ。理解できなかったら理解できない部分には触れないでおこう。
牧野 修 『病の世紀』 徳間書店 2000年12月04日 (図書館)
- 荒唐無稽に感じられたせいか、少しも怖くなかった。病の世紀だけに、病気が何種類も出てくるのだが、それも遠い世界の話としか感じられなかった。洗脳と針千本飲むところは痛そうだったけれど。出てくる病気の種類が多すぎて、頭が混乱していたのかもしれない。
リリアン・J・ブラウン 『猫は殺しをかぎつける』 ハヤカワ文庫 2000年12月06日 (古本)
- なんとなく猫が好きという程度の私でも、準主人公でもあるココとヤムヤムにはノックアウト。決して可愛い!って描写が延々と続くわけではなく、なかなか憎たらしかったり、「嘘だろ?」って行動もあるのだけれど、猫の姿が目に浮かぶような感じがいいのかもしれない。主人公のクィラランも目にいれても痛くないという可愛がり方をするけれど、虫の居所が悪すぎれば、猫に腹を立てたりもする。お話自体が面白いのかは、シャム猫に心を捕らわれすぎてよくわからなかった。(おいっ)
小野不由美 『東京異聞』 新潮文庫 2000年12月10日 (借りる)
- こめっちさんにお借りしました。ありがとうございます。
現実と魑魅魍魎、本当に怖いのはどっち?
本物と偽物が、綺麗な文章の中で交錯する。
途中、つまらない終わり方をするのかと、がっかりしかけた後の、
どんでん返しがよかった。
ラストの東京の情景がなんとも美しい。(?)
江國香織 『神様のボート』 新潮社 2000年12月12日 (図書館)
- みなるちゃんちの感想を見てから、ずっと気になっていたので、借りてきました。
狂気の物語ということですが、未婚既婚もしくは恋愛観によって受け止め方がかなり変わってくる小説ではないかと思います。私としては、母親の狂気の世界が、心の中に抜けない棘となってしまった草子という女の子が、これからどうなるんだろうと心配になってしまいます。葉子という女性が娘に与えた愛情がすべて間違っていたとは言えないし、彼女が与える世界も少し羨ましいってところもあるくらいだけれど、それでも私は彼女を許せない存在と感じてしまうのです。でも、実際母親となってしまったら、狂気の混じらない世界で子供を育てることは絶対不可能でしょうね。
リリアン・J・ブラウン 『猫は手がかりを読む』 ハヤカワ文庫 2000年12月15日 (図書館)
- もう止まらないってことで、ココ・シリーズ処女作を図書館で借りてきました。
ココとクィラランの出会いのお話も含むミステリ。ココの元の飼い主がいい人であって欲しいという私の願いは大変むなしいこととなりました。詳しいことは書けませんけど、そんなに自分がすごいって過信できるのはある意味すごいことかもしれまん。それはともかく、ミステリ部分の展開が猫に気を取られていたせいか妙に唐突で、ふーんって感じではありました。本音を言えば、ココさえ引き立てば、唐突でも何でもかまいません。
柴田よしき 『ゆび』 祥伝社文庫 2000年12月16日 (図書館)
- とてもホラーが読みたい気持ちだったので、読んでみました。突如ゆびが出現するってのは、想像すると笑っちゃいます。幻覚と思われてしまうのは仕方ないでしょう。ホラーにコンピュータが出てくるのは個人的には好みじゃないし、夫婦愛の結末にもいまいち不自然さを感じてしまいましたが、どっちにもそれほど詳しくないので、言及は避けます。(卑怯者だな)。完全無欠ではないけれど、すらすらと一気に楽しく読めたので、面白かったのだと思います。
リリアン・J・ブラウン 『猫はソファをかじる』 ハヤカワ文庫 2000年12月19日 (図書館)
- すっかりはまってしまったココシリーズ。今回はヤムヤムが初登場するお話でもある。まだ三作しか読んでいないのだけれど、クィラランに部屋を貸してくれる大家さんは、そのうちいなくなってしまうのではないかと、ちょっと心配。それはともかく、ココを見た獣医(?)さんの「幸せな猫はたくさん食べないんですよ。」という言葉は自分にも当てはまるなあと思った。この獣医(?)さんのセリフは、おっとりと優しくて、ちょっと心が和んだ。本筋とはそれほど関係ないかもしれないけど。
ジェームス・ハーバート 『月下の恋』 学研 2000年12月20日 (借りる)
- こめっちさんからお借りしました。ありがとうございました。
荒れ果てた館、荒れ果てた霊廟、荒れ果てた池という情景描写の美しさと、主人公が少年時代から引きずる心の傷に結びついた諸現象(?)が、なんとなく典型的とも言える西洋風の幽霊物語だという印象だった。映画の写真が綺麗。降霊会や、幽霊に対する考え方などに知識がほとんどないせいか、若干形式的な印象を受けてしまった。主人公と姉の姉弟の確執の描き方は気に入ったのだけれど、どうにもどさくさに紛れて巻き添えになったとしか思えない登場人物がいて、そこが納得いかなかった。
宮部みゆき 『あやし〜怪〜』 角川書店 2000年12月23日 (借りる)
- こめっちさんからお借りしました。ありがとうございました。
純和風の怪談ものの短編集。怖いと言うよりは人の心の優しさの方をより多く感じました。「安達家の鬼」とか「女の首」は特に好きなお話です。前者では、二人の女性の目に映る安達家の鬼の姿の美しさ、後者では太郎を思う周囲の人々の優しさが心に染みました。刺々しい心は何を呼ぶかわからないなと、最近の自分を反省しました。
リリアン・J・ブラウン 『猫はスイッチを入れる』 ハヤカワ文庫 2000年12月25日 (図書館)
- 引き続き、ココ・シリーズ。タイムリーにも本の中もクリスマスシーズンでした。スイッチを消すことを覚えたココの最後のいたずらがなんともファンタジック(本当?)。
聖人君子は聖人君子のまま。気のいい男は気のいい男のまま。裏表が全然ない人間なんていないと思うけれど、目に見えているものが全く信用できないとしたら、どうしよう。観察眼を磨いて、真実を少しでもたくさん見抜ける目を持ちたい。ま、見えてもお互いに都合の悪いことは黙っていればいいのだから。
宮部みゆき 室井滋 『チチンプイプイ』 文芸春秋 2000年12月26日 (借りる)
- こめっちさんにお借りしました。ありがとうございました。
宮部みゆきさんと室井滋さんの対談集。対談集自体久しぶりに読むのだけれど、とても楽しく読めました。室井さんの大ファンだし、宮部みゆきさんも夢中になっていましたから。私ごときが雲の上の人に言う言葉ではないのですが、感覚的にものすごく共感できて、うんうんとうなづきながら読みました。特に洋服に対する考え方。宮部さんがこれ一枚が原稿何枚分って考えるところなんかは「そうだよね〜」って力をこめてうなづいてしまいました。電車の中なのに。私もいつも大きな買い物の時は考えます。これは図面?枚分に値する買い物でしょうか?
恩田 陸 『ネバーランド』 集英社 2000年12月27日 (図書館)
- もてもてカタログから取り出したような三人の少年が、冬休みの寮で過ごした短い期間を描く。なんだかとても嘘っぽいくらい透明な感じのする小説だけれど、どれだけこれくらいの年齢の頃に他人に対して残酷だったかをつきつけられるというよりは、ただただ懐かしい気持ちになるのが不思議だ。
![]()