| 年月日 | 1997年9月4日 |
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| 書店 | 新潮文庫 |
| 著者 | 藤沢周平 |
| ジャンル | 時代小説 |
| 本の出所 | 購入 |
用心棒日月抄シリーズ第四作。今までの作品とはがらりと雰囲気が変わります。第三作から十六年の歳月が経ち、又八郎は下腹の出た中年に、佐知もまた年相応の老いを重ねます。今回は妻である由亀の出番はあまりありませんが、又八郎の心の中の存在としては大きいです。
突然、嗅足組に解散命令が下され、ちょうど臨時の江戸詰となった又八郎にそれを佐知に伝える命が下されます。しかし、命令を下した榊原は又八郎が出発する前に暗殺され、佐知との十六年ぶりの再会はやはりきなくさい背景の中でのこととなります。
どうも現代の日本では、歳を重ねれば特に女性の価値は低下してしまうという好ましくない傾向が目立ちますが、用心棒シリーズではそんなことはありません。又八郎も、彼を囲む二人の女性も歳を重ねることにより、今までと同じであり違う魅力が出てきます。哀愁や寂寥ばかりではありません。うらぶれた浪人となったかつての用心棒仲間の細谷にも、彼なりの美学を又八郎が見いだすことに救いがあります。