海峡の光
本のデータ
| 年月日 |
1998年05月19日 |
| 書店 |
新潮社 |
| 著者 |
辻 仁成 |
| ジャンル |
文学 |
| 本の出所 |
図書館 |
文学は別に意外な結末じゃなくてもいいんですよね。文章自体も楽しむものですもんね。と念押ししたくなるのは、半分も読まないうちに結末がわかってしまったからなんです。最初は何か悪いことが起こるんじゃないかという不安は空振りに終わりました。あ、これ以上はネタ晴れだからやめておこうっと。
刑務所の看守である主人公と、かつて彼をいじめた幼なじみが巡り会い、その二人の現在と過去が語られる話。過去と離れて、記憶が風化しても、いじめの張本人に会えばおどおどしている過去の自分に戻ってしまうという気持ちのみは共感できた。
文学の定義がよくわからないのだが、それから私が年々離れていくのは、作者が自分と同じ暗黒に読者を引きずり込もうとしているように思えるからだ。被害妄想かもしれないけれど、最近の日本文学を読んでポジティブな気分になれた試しはない。この作品も例外ではなくて、いじめはなくすべきだというようなメッセージではなくて、いじめた人間といじめられた人間をその過去の暗さに縛り付けようとしているような気がしてしまった。忘れてはいけないことだけれど、乗り越えなくてはいけないことでもあると思うのは、私がまだまだ甘い考えの持ち主だということだろうか?
読んだ本1997へ