帰郷
本のデータ
| 年月日 |
1998年07月22日 |
| 書店 |
新潮文庫 |
| 著者 |
立原正秋 |
| ジャンル |
小説 |
| 本の出所 |
図書館 |
急に読みたくなったので、図書館で借りました。恥ずかしいことに、作家別インデックスの作家名が「立原」じゃなくて「立川」となっていました。穴があったら入りたいなんて口走って壺に閉じこめられたら大変なので(川原泉の『中国の壺』参照)、一人で海より深く反省します。
古美術商(?)である主人公を中心に、日本人の日本への気持ちというものを描いた文学(?)作品。テーマは、いくらか卑屈なところもある主人公の心が日本へ帰るということらしいです。主人公に関わる人々は、ヨーロッパに行き日本に帰れなくなった人々、パリばかりを見ている夫と主人公を見つめている妻、祖国の存在を意識できない在日韓国人の兄妹、アメリカ人のガールフレンド、現地の人々など、様々です。その中で、主人公の心が日本へ帰ろうと決意し、結末は結局曖昧に終わります。
昭和初期のイメージと退廃的なイメージのある文章で、ごく最近のことが書かれているのに、不思議な印象があります。教訓がどうのとかテーマがどうのというよりも、雰囲気を楽しめました。嫌いな要素がたくさんあるというのに、すんなり読めたのは、日本の美の感覚というものが繰り返し描かれているせいだと思います。私自身、熱烈な愛国主義でもないけれど、なんとなく日本を愛しています。どうしても、離れられないものなら、愛してしまった方が人生楽しいですもんね。
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