死神







本のデータ
年月日 1998年08月27日
書店 実業之日本社
著者 篠田節子
ジャンル 短編集
本の出所 図書館






なんとなく怖いような話が読みたかったので、題名と著者に惹かれて借りてきました。短編集かと思って、最初はがっかりしたのですが、連作集で結構気に入りました。東京の下町の福祉事務所の所員たちと彼らに関わる人々を描く連作集です。こわもての女性所員たちとナイーブな男性所員たち、融通の利かないケースワーカーたちの性格と担当した人々の実はわりとしたたかだったり強かったりする性格など、対照的な要素があって、シニカルな感じです。

八つの短編は、戦争から帰らない恋人を待ち続ける老女を描く「しだれ梅の下」、薄幸に見えるが実は強く賢いんではないかという女性とケースワーカーが奇妙な関わりを見せる「花道」、ポルノまがいのビデオと手紙で福祉事務所が脅される「七人の敵」、出社拒否になった夫とおっとりした妻が家庭を立て直そうとする「選手交替」、無骨な所員が思い出の女性と所員と再会し幸せのあり方に疑問を持つ「失われた二本の指へ」、幽霊も騙す女詐欺師の話「緋の襦袢」、アル中の男とアル中のケースワーカーを描く「死神」、女性所員がかつての憧れの少女小説家と再会してしまう「ファンタジア」。

はがゆく思えるのに、どんでん返し的にしたたかな顔を見せる女性の姿に、ニヤリとさせられたり、気張っている女の人に最後にほろりとさせられたり、別の短編で同じ人物の違う顔を見せられたりと、結構芸が細かくておもしろいです。





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