蝉しぐれ







本のデータ
年月日 1998年11月27日
書店 文春文庫
著者 藤沢周平
ジャンル 時代小説
本の出所 古本屋で購入





おなじみ海坂藩を舞台に、少年藩士の成長を描く物語。藩の世継ぎ騒動に関係する忍苦の生活、淡い恋語、友情、そして剣技の描写。どれを取っても緻密に書き込まれているだけでなくて、情感に訴えます。題名である蝉しぐれの情景描写も効果的です。藤沢さんの文章や小説の登場人物の行動は、不思議なくらい今の私の美意識にはまります。だから、評価は大甘なんで、そのへんは大目に見て下さい。

特に歴史の大きな流れに関係はしないし、歴史に登場する人物も登場しないけれど、心に残り考えさせられることの多い小説です。上級武士が下級武士を駒としか考えないというくだりは、今の政治や会社にも通じる問題ですし、下級武士でしかも忍苦の生活の主人公が剣の腕を持つことを必要以上に妬まれたりするところなど、やりきれないものを感じます。もし、忍苦を強いられることになれば、どういう心構えでやり過ごせるのだろうとか考えてしまいました。




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