春秋の檻
風雪の檻
愛憎の檻
人間の檻
本のデータ
| 年月日 |
1998年1月23〜25日 |
| 書店 |
講談社文庫 |
| 著者 |
藤沢周平 |
| ジャンル |
時代小説 |
| 本の出所 |
古本屋で購入 |
新品買うしかないなと思っていたら、古本屋で発見したので、未読が山ほどあったのに思い切って買って、しばらく積んでありました。獄医立花登手控シリーズ全4冊です。
うだつの上がらない町医者であり獄医を勤める叔父を頼って、それと知らず大志をいだいて上京した立花登の青春を描く時代ものの連作小説。短編は一話完結ですが、純情で世間知らずだった登の成長ぶり、驕慢な従姉妹のおちえがだんだんしおらしく女らしくなっていくところ、叔母や叔父との関係の変化など、常連の登場人物を眺める楽しみもあります。短編のパターンは、牢内で登が何かを頼まれたり打ち明けられたりして、事件に巻き込まれ、得意の柔術で捕物に協力するというのが一番多いです。個人的には、春秋の檻が一番好きです。不幸な女性と登との淡い恋物語など秀作が多いと思います。巻が進むと、今度は一作一作というよりも、登場人物の上の時間の流れの方を楽しんだような気がします。それでも1冊に1作は、それだけを何度も読み返したい話があったりするなかなか得な本です。各巻の春秋や風雪、愛憎、人間という言葉にも、意味があるのが、すごく芸が細かくうまいなと思いました。
獄医という設定の中で、常連以外の主要登場人物の持つ影の部分に、惹きつけられました。それでも、登という主人公の持つ明るさが、成長で損なわれていかないところが、後味をよくしていたような気がします。
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