2001年1月の感想
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リリアン・J・ブラウン 『猫は14の謎を持つ』 ハヤカワ文庫 2001年1月6日 (図書館)
- ココシリーズの著者による、猫が登場する14の短編集。「マダム・フロイの罪」というお話がお気に入り。善悪の曖昧さを素直に納得できてしまう優雅な復讐のお話でもある。
いしいしんじ 『ぶらんこ乗り』 理論社 2001年1月8日 (購入)
- 本当のことは
時には
おそろしいこと。
残酷なこと。
でも、目は逸らさない。
いるはずの天使も見逃してしまうから。
クリストファー・ファウラー 『スパンキイ』 創元推理文庫 2001年1月11日 (購入)
- 冴えない男マーティンが自分を変えたいと思った時、お洒落でスタイリッシュな悪魔(?)スパンキイが現れた。スパンキイはマーティンの願いを次々に叶えてくれるが、世の中無料でもらえるものはないのだ。
全然ためにならないけど、お洒落で可愛い感じの娯楽小説(本当はホラーみたいだけど)。冴えなくて自我もなさそうなはずの主人公が、自分にとって必要なものを理解していく様子が潔くて好ましい。お洒落と感じたのは、主人公の行動の潔さとスパンキイの行動の唐突さと全体的にシニカルで一歩引いた感じだと思う。ホラーにしては怖さとかスリルがほとんど感じられなかったのが惜しいかも。欠点は他にもたくさんありそうなのだけれど、スピード感で誤魔化されてしまったような気がする。(げっ、偉そう)
志水辰夫 『情事』 新潮文庫 2001年1月15日 (購入)
- 濃密な文体が特徴だそうですが、わたくしには濃密すぎました。うう、気持ち悪い。。。まあ、性○為の描写は気持ち悪かったのだけれど、エロティシズムの感じ方やいい女についての考え方は興味深かったです。
倉橋由美子 『反悲劇』 新潮文庫 2001年1月16日 (古本)
- 鬼が人に返る時、鬼だからこそ持ち得た生きる力を喪失するという。
鬼だからこそ持っていた生きる力を失うことは、
悲劇とも、幸せともいえる結末かもしれない。
ギリシア悲劇(?)をモチーフに、舞台を現代として描かれた5つの小説からなる短編 集。メディアのお話でもある「白い髪の童女」が特に印象的でした。
戸梶圭太 『溺れる魚』 新潮文庫 2001年1月18日 (購入)
- あらすじをどう説明していいのか、感想をどう書いていいのか、さっぱりわからないのだけれど、とにかく笑えた。危険な登場人物も出てくるのだけれど、人間の妙な部分というのがスピーディーに描かれていて、なんとも可笑しいのだ。たまにはこういうのもいいかも。映画化されたそうなので、ちょっと見てみたい。
ビリー・レッツ 『ビート・オブ・ハート』 文春文庫 2001年1月21日 (購入)
- 7という数字と不運が密接に関係ある十七才のノヴァリーは、妊娠七ヶ月でボーイフレンドから見知らぬ街に置き去りにされる。しかし、そこで出会った人々の優しさで、本人の中に眠っていた明るさと強さが目覚めていく。
おとぎ話じみてはいるけれど、それでも、人の優しさを信じたいと思わせる小説。諦観で乗り切っている理不尽さを、「諦めなくてもいいよ。」というようなこういうお話を読むと心が癒されるような気がする。
戸梶圭太 『赤い雨』 幻冬舎文庫 2001年1月21日 (購入)
- 赤い雨が降り、それをきっかけに人々のフラストレーションが一気に噴出していく。ブラックユーモア的な痛快さが、正義という言葉の意味と感情はどこまで押さえるべきなのかということの境界が曖昧になってくる怖さがある。為にはならないけど、面白いかも。
宮部みゆき 『平成お徒歩日記』 新潮文庫 2001年1月22日 (購入)
- ここんところお散歩熱が高まっていたので、わりと好きな宮部さんのエッセイでもあるので、衝動買い。徒歩は「かち」と読むそうだ。個人的には剣客商売の最終話をもとに深川を歩く会と、赤穂浪士の引き上げの道が興味深かった。宮部さんのファンはやめたつもりだったのだけれど、やっぱりいいよなあ。エッセイも可愛いもん。
バリー・ギフォード 『ナイト・ピープル』 文春文庫 2001年1月24日 (購入)
- 壊れた人間たちを主人公とする掌編集というべきでしょうか?主人公は何度か入れ替わるけれど、全部繋がった一つのお話である。視点が何度も入れ替わるのと、特に魔法とかが出てくるわけでもないのに不思議なお話が多くて、途中で何度も前に戻って読んだ。最後の方のイージー・アールとマーブルのお話が特に気に入った。それにしても、これを「お薦め」と断言する本屋さんがすごいと思う。。。私は面白かったけれど、万人受けはしないだろうし、読んでいて怒り出す人も多いと思うんだけど。
テス・ジェリッチェン 『僕の心臓を盗まないで』 角川文庫 2001年1月30日 (購入)
- 臓器売買をテーマとしたサスペンス。ロシア人少年ヤーコフ、先輩研修医ヴィヴィアンなど魅力的な登場人物は多いし、タイムリーなテーマだし、スピーディな展開で読んでいて飽きるっていうのはないのだけれど、ありがちで陳腐という印象が強かった。
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