2001年3月の感想
森 博嗣 『数奇にして模型』 講談社 2001年3月01日 (図書館)
- パズル系のミステリは嫌いだし、理系とは思えないのに理系ミステリって呼ばれているのも気に入らない。登場人物も国枝さん以外は苦手。なのに、ここまでこのシリーズを読んでしまうのは何か魅力があるのだと思う。でも、私には何に魅力を感じているのかもいまいちよくわからない。今はもうないはまあまあよかったけど、これもまあまあだったし。なんて言うと敵をたくさん作りそうで怖いよう。これを読むといつも思うのは、理系と文系って、そんなにきっぱり分けられるもんじゃないじゃんという関係ない反発なのだ。それはともかく、ペットボトルのロケットは私も作ってみたいかも。
マイ・シューヴァル/ペール・ヴァールー
『ロゼアンナ』 角川文庫 2001年3月05日 (古本)- ベック警視(だっけ?)シリーズ第一作目。たしか旅歌さんのサイトで紹介しているのを見かけて面白そうだったので、探してきました。私の素人考えによると、ランキンや、リューインが好きな人なら、きっと好きなんじゃないだろうか?ただ、正義感が云々というよりは、世相や現実の時間を客観的に写し取っている感じだけれど。
川底で明らかに他殺と思われる女性の全裸死体が発見された。彼女が最後に目撃された観光船には外国人も多く捜査の網はせばまるどころか、どんどん広がっていく。捜査に加わったソニアの「可哀相な人」という言葉が印象強かった。
小野不由美 『黒祠の島』 祥伝社 2001年3月07日 (購入)
- RE-QUINさんところの日記で面白そうな感じだったので、思い切って買いました。
失踪した仕事仲間の葛木を捜して渡った島は、神教に組み入れられなかった邪教の神を祭る閉鎖的な島だった。渡ったはずの葛木を見かけた者は誰もいない。そこから主人公が謎を切り崩していくところが個人的には面白かった。物語の結末にも満足したけれど、謎の結末がなんともいまいち。面白いし、好きな要素は全部揃っていて、、買って損だったとは全然思わないのだけれど、何かあと一歩のところで満足しきれない。
リリアン・J・ブラウン 『猫は糊をなめる』 早川文庫 2001年3月08日 (図書館)
- 演劇クラブの主要メンバーである双子の片割れが妻と一緒に殺された。そして、容疑者であったグループの若者も事故で死亡し、事件は解決したことになっていたが、クィラランとココは直感から事件を調べ続ける。
と後々のためにあらすじを書いてみたけど、本筋も人間様もあんまり興味がないのだ。いつの間にかレギュラーになっているコブ夫人やヒクシーも結構魅力的なんだけど、やっぱりココとヤムヤムの二匹の猫には叶わない。糊が好きで切手や封筒をなめてはとろんとしちゃうココや、露骨にクィラランにアプローチしてくるインテリアデザイナーに嫉妬しちゃうヤムヤム。引き出しを開けたりとか、靴ひもや光り物を狙ったりとか、そういう動作の描写の一つ一つが目に浮かぶ。
大石 圭 『アンダー・ユア・ベッド』 角川ホラー文庫 2001年3月10日 (購入)
- 「産んでおいてよかった」という言葉。茶色い朝顔。グッピー。
気づかれない度合いが、
二人の言動の違いを生んだのだろうかとふと考えた。
ストーカー、暴力夫、気づかれない存在と、盛りだくさんなパーツのわりに、社会問題がを糾弾する方向にならないところが面白かった。
牧野 修 『アロマパラノイド』 角川ホラー文庫 2001年3月14日 (購入)
- においと言葉に関するホラー。要素は面白そうなのだけれど、いわゆる言葉遊びが苦手な私には警告の手紙や引用文が読みづらかった。これはいつものことなので仕方ないとしても、どうしてもジュースキントの「香水」と比べてしまって物足りなかった。
クライヴ・バーカー 『不滅の愛(上・下)』 角川文庫 2001年3月16日 (古本)
- 凡庸な男が宛先人不明の郵便物の謎を解くところから物語は始まる。アートという力を使おうとする男とそれを阻止する男との戦い、アートを教えた男の秘密。今まで読んだバーカーの長編と同じで、物語の一番重要な鍵を握るのは個性的すぎるけれど魅力的な女性である。テスラの「世界中の何人と寝てもあなたは私のもの」というセリフが好きだ。普通はそんなに超越できないから、この小説の邦題が不滅の愛になるんだろうか。
五條 瑛 『プラチナ・ビーズ』 集英社 2001年3月17日 (図書館)
- 確かにプラチナ・ビーズかもしれない。
北朝鮮という国が出てくる小説を読むのは初めてだし、分厚い上に二段組の活字で、本当に読めるのか不安だったけれど、とにかく面白かった。登場人物の誰に自分を投影できるわけでもないし、話的にはそれほどスピーディで派手な展開という感じじゃないのに、全然退屈しない。で、ただ夢中に読みながらも、当たり前に自分が持っているものの価値をなんとなく(なんとなくってのがミソなんだな)考えさせられるところもすごい。
五條 瑛 『スリー・アゲーツ』 集英社 2001年3月21日 (図書館)
- 冷酷じゃないと自由になれない?
チョンという男を追いつめていく環境の閉塞感に涙せずにはいられない。読んでいると、情にどんどん流されていく自分がわかる。価値が小さいゆえに、血を流さない瑪瑙という石にこめられた父親としての気持ちが心に染みる。
恩田 陸 『象と耳鳴り』 祥伝社 2001年3月23日 (図書館)
- 引退した判事関根多佳雄が日常や犯罪に関する謎解きをする短編集。関根多佳雄をはじめ、後輩である貝谷、息子の春、娘の夏など、登場人物は非常に魅力的なのだけれど、12の短編全部が全部物足りない。特に物足りなかったのが表題作。散文チックで文章は綺麗なんだけど、つい「だからなんなの?」と言いたくなってしまった。でも、給水塔や魔術師というありきたりの新興住宅地を舞台にした話は、なかなか興味深かった。
D・E・ウェストレイク 『斧』 文春文庫 2001年3月24日 (購入)
- ジャンル的にはパルプノワールというやつで、トンプスンの「ポップ1280」などと同じらしい。雰囲気はよく似ていたけれど、「んな馬鹿な!」とか「根本的に解決してないだろ?」と突っ込みをいれたくなるようなブラック・ユーモアがなんともウェストレイクで楽しい。穴だらけな行動を埋めるのは落ち着きってこと?(大笑)
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