2003年2月の感想
若竹七海 『八月の降霊会』 角川書店 2003年2月1日 (図書館)
- 読み始めた時、密室殺人が起ってげーっと思ったのだけど、ややオカルトな結末で読み終わってもすっきりしませんでした。これならパズルチックで明快な終わり方の方がまだ好みでした。あと、登場人物の双子の名前がお洒落すぎるのが個人的に嫌でした。装丁はすごく好きな本ですし、文章も読みやすいのですけれど、美鶴さんの娘が可愛くなかったら最後まで読めなかったかも。
若竹七海 『ヴィラ・マグノリアの殺人』 カッパノベルス 2003年2月5日 (図書館)
- 湘南地方の架空の街葉崎の便の悪い建売住宅には個性的な住民ばかりが住んでいた。ここで身元不明の死体が発見され、事件だけじゃなくて住民たちの過去なぞも明らかになっていく。
なんてあらすじを書くとシリアスな感じだけれど、どちらかというとミステリというよりは個性的な住民たちのキャラクターを気軽に楽しむ小説のような気がする。セリナがらみの設定はかなり無理やりなのだけれどかわいいから許す。(偉そう)
若竹七海 『古書店アゼリアの死体』 カッパノベルス 2003年2月7日 (図書館)
- ロマンス専門の古書店アゼリアを舞台にしたコージーミステリだそうだ。こういうミステリもやたらとあくの強い漫画チックな登場人物も嫌いなのだけど、いろいろ気のきいた表現が出てきて、それがかなり好み。小題(?)のつけ方なんかおしゃれですごく可愛い。根っからのお嬢様は人目を気にせず好きなことをするって文章にはものすごく納得(笑)。
若竹七海 『船上にて』 講談社 2003年2月9日 (図書館)
- ほとんどが後味の悪い短編集。不思議なことにそれで呆然とするような暗い気分になって落ち込むことはない。残酷な話ばかりなのに頭に浮かぶのは「健全」の二文字だ。「手紙嫌い」が気に入った。でも、表題作はあんまり好きじゃない。
若竹七海 『悪いうさぎ』 文芸春秋 2003年2月10日 (図書館)
- 葉村晶ものの長編。これは個人的にすごく面白かったと思う。ヒロインもちょっと抜けてるところがよくわかる気がして感情移入できる。ゲームと二八会と狩猟が出揃ったところで事件の真相は想像がついてしまうけれど、それとはあまり関係ない最後に明らかになる葉村の勘違いや、葉村のところに居候していた女子高生の贈り物がかわいい。
若竹七海 『ぼくのミステリな日常』 創元社 2003年2月13日 (図書館)
- 若竹七海さんのデビュー作。社内報の編集を任された主人公のもとに、匿名の作家から毎月短編が届けられるという設定の連作短編集。一つ一つの作品が丁寧で面白いだけじゃなくて、全部の繋がりがなかなかわからなくて楽しめた。出来のいいお話はほかのだけれど、個人的には「内気なクリスマスケーキ」というお話が特にかわいくて好きだ。
若竹七海 『プレゼント』 中央公論社 2003年2月17日 (図書館)
- 葉村晶と小林刑事(警部か?)が登場する短編集。上手だけど全体的に小粒という印象で、どちらかというと作品よりも葉村ものの登場人物についてミーハーな興味が満足させられたと感じるのは短編の読解力が乏しいせいだろうか?
若竹七海 『製造迷夢』 徳間書店 2003年2月18日 (図書館)
- 残像思念を読み取る美潮という女性が登場する連作短編。特に超能力者の知り合いなんかいないのに、なぜか登場人物の言動にうんうんとうなづいてしまうのが不思議だ。ビルを覗き見して事件をプロデュースしてしまう男の話はちょっと怖かった。生活を見世物にされてもねえ。。。。
坂東眞砂子 『曼荼羅道』 文芸春秋 2003年2月20日 (図書館)
- 富山の薬売りだった祖父の帳簿をもとに曼荼羅道に行った男は、過去の祖父や祖父の過去や祖父の愛人に出会う。祖父の愛人だった森の部族の娘が言動がよくも悪くも印象的だ。それと比較すると祖父も孫も明らかに脆弱で弱い。孫の方は思ったよりは骨があったみたいだけれども。
恋愛ではなく、男女の愛というものに疑心暗鬼になる恋愛小説ではないかと思う。信じられなくなるのに特に暗い気持ちになるわけでなく、そうなのかなとしか思わないで読めるのは、単に小説だからなのか、自分が変わったからなのか、そういう視点で著者が書いているのか、なんとなく考えてしまった。
ジョー・R・ランズデール 『モンスター・ドライヴイン』 創元SF文庫 2003年2月22日 (購入)
- 突如ドライヴインシアターが異空間を漂うことになり、その中で食料が不足してくるにつれて殺戮やら宗教やら変な合体やらが起こるスプラッタSFらしい。この本の紹介はどれもものすごく大袈裟だったけど、小粒なB級ホラー映画といった趣のどうでもいい小説だったと思う。日本人の感覚ではかなり寒い感じなのだけどB級映画好きの人ならそれなりに楽しめるのではないだろうか。でも、続編が気になるので実は面白いと感じたのかもしれない。
菊池 寛 『真珠夫人』 新潮文庫 2003年2月25日 (購入)
- 最近、昼メロの原作となり最注目された耽美かつ情熱的な大衆小説。時代背景が違うといえばそれまでだけれど、当時としても特殊な精神構造を持っていると思われる人々が信じられない情熱やら行動パターンを程よいスピードで展開してくれる秀作だと思う。真面目にのめりこむことはできないけど、ここまでぶっとんでいると素晴らしい。いけないとは思うのだけど笑いすぎた。
デニス・レへイン 『スコッチに涙を托して』 角川文庫 2003年2月28日 (古本)
- パトリック&アンジーシリーズの第一作目。いきなり二作目から読み始めたため、パトリックとアンジーの関係がややわかりにくかったのだけどこれでだいぶわかったような気がする。事件よりもパトリックとアンジーの気持ちがクリアになっていく様子が実はべたなロマンス好きの私としてはたまらない。危険なブッパという登場人物の壊れ具合も気に入ってしまった。
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