2003年6月の感想






貫井徳郎 『被害者は誰?』 講談社ノベルス  2003年6月2日 (購入)

美形で才能あふれた作家が探偵であるコミカルな安楽探偵ものの連作集で、ワトソンっぽい警視庁づとめの僕を語り手としている。最後の話にいかにも貫井さんという仕掛けがある。安楽探偵とワトソン君両方の性格がなんとも悪くて笑える。暇つぶしにはちょうどいいかも。



斎藤綾子 『欠陥住宅物語』 幻冬舎  2003年6月11日 (購入)

ほとんど著者が経験した実話ではないかと思われる成長物語。草野満代さんも大絶賛って書いてあったけど、個人的にはやっぱり合わない。欠陥住宅やマンション建設反対運動とかの話を読むと頭のいい人だと思う。住宅を買ってすぐにまともな建築士を呼んで調査してもらったり、マンション建設反対運動ではびっくりするぐらい格好いい行動をとる。裁判の際にもかなり冷静だと思う。ただ、母親との確執やある意味自虐的な行動が生理的にうけつけないのだ。嫌いな本だけど、斉藤綾子さんの小説が好きな人にはかなりお勧め。著者に惚れ直すかも。



クライブ・バーカー 『アバラット』 ソニーマガジンズ  2003年6月12日 (購入)

ディズニーによる映画化も決定したらしいファンタジー四部作の一作目。著者自身による油絵が挿絵になっているなんとも豪華で美しい本。16才の少女が主人公の異世界ものなのだけど、異形の登場人物の造形がバーカーらしく、ホラー小説から入った私でも満足できる。特にひとつの体に兄弟全員の顔がついた盗賊ミスチフが登場する会話が好きだ。ただよけいな心配なんだけど、小中学生のお子様がアバラットにはまったからという理由で血の本とかを買って帰ってきたら、親御さんはどうするんだろう?



五條 瑛 『心洞』 双葉社  2003年6月12日 (購入)

R/EVOLUTINシリーズの3作目。2作目の紫嵐を読んだ時に、1作目と両方を読み返したのだけど、やっぱりもう内容を忘れている。細かい部分を覚えてなくても楽しめないことはないと思うけど、また読み返したほうがいいのかもしれないと思った。面白いかつまらないかと聞かれたら、面白いと答えると思うけど、前作とのつながりやこれから話がつながっていくことなしで楽しめるかといわれたら否と答えると思う。でも、今回仲間に加わる(?)少女のキャラクターはまあまあ魅力的。この女の子が次回作で鳩っぽくなるのは格好いいかもしれない。



ジム・トンプスン 『死ぬほどいい女』 2003年6月16日 (購入)

トンプスンらしいけれど、なんとなく粗製濫造っぽい雰囲気の小説。どういう順番で彼の著作が書かれたのか知らないし、私の読んだ順番が悪いのかもしれないけど、今まで読んだ小説の寄せ集めくさ胃」感じだった。でも、モナと主人公の妻の駄目っぷりはたまらない。



ジョー・R・ランズデール 『テキサスの懲りない面々』 2003年6月20日 (購入)

ハップ&レナードシリーズ。人にはススメられない仕事からのハップのガールフレンドのブレットがたまらなく格好いい。特に最初の取引を終えて帰って来たハップにした提案が素敵だ。こういう女性の登場人物を書ける男性作家ってすごいと思う。いつも思うけど、下品な表現炸裂なのにこのシリーズはなんとなく品を感じる。