ゲームにおける物理という記号 ◇


コンピュータのRPGを遊んでいるとよく目にする表現に、

『物理的攻撃に対する防御』

なんていうものがあります。

初期の頃のこの表現は、きちんと『物理的〜〜』となっておりました。

この表現の意味するところは、剣と魔法の存在するゲーム世界において、
魔法とは対となる、剣や斧などの直接攻撃のことです。
このほかに、ゲームによっては『物理的攻撃力』とか
『物理的攻撃に対する回避率』なんていうパラメタもあったりします。
『魔法による攻撃』というパラメタの対なるものとして存在し、
一種、魔法という不可解な現象に対して、
そうでないものというところで定義されているようです。

「有理数でないもの」という定義で「無理数」を定義するような感じです。

そしてまた我々日本人は古来より、日常よく使う単語を、
話し易いように短縮・省略することがあります。

例えば、携帯電話

ケータイとか言いますよね? 他にPHSをピッチとか言ったりします。

これは、各分野の専門領域に携わる人々でも同じことです。

『シュレディンガ方程式』とノートに書くのが面倒なので、
『Sch.eq.』などと略記したり、

『∂』(ラウンド・ディー:偏微分の記号)を発音上では単に『ディー』と呼んだりします。
あるいは『ラウンド』とか『デル』とか呼ぶ人もいます。
『デル・ワイ デル・エックス』と言った時は、『∂Y/∂X』を表すわけです。

もちろん、ゲームの領域でだって、これは起こります。
先の『物理的攻撃』『物理攻撃』とか『物攻』とかになったりします。
『物理的攻撃に対する防御』の場合、『物防』とかになったりしますね。

まあ、この程度の省略形ではなんてことはありません。
そのゲームをやっている人という集合のなかでは、この『物攻』という記号は、
『剣や斧による直接的な打撃』という意味を与えられているので、混乱しません。

記号だけが先走りしていくと、『物理』という記号はもはや、
魔法でないダメージを表しているという認識をもってしまい、
ほかのフィールドにでたときに『物理』を見たら、
瞬時に『直接的なダメージを表す』と認識させられてしまいます。

要は、ゲームというフィールドさえでなければいいんです。


さて、世の中には『弱点』というものがあります。
ゲームに限って言えば、この弱点をつくことで、戦況を有利に運ぶことができるようです。

例えば、ホワイトドラゴンと戦うことが明白な時に、
わざわざアイスストームをもっていくMUやエルフはいないでしょう。
普通の神経の持ち主なら、
ファイアボール、レジストコールドを選択することになります。

弱点というパラメタは、なにも、炎とか冷気とかだけではありません。
コンピュータRPGで割とよく見かけるのが、
『直接攻撃には弱いが、魔法攻撃には強い』
というへんなやつらです。もちろんこのパターンの逆もあります。

このへんなヤツラのパラメタは、
『物理的攻撃に弱い』『魔法攻撃に強い』とかになります。

そして、これを省略した形で表示させると、
『物理に弱い』『耐性:魔法』とかになります。



『物理に弱い』ってそりゃあんた、
理系の人間にとっては『致命的なダメージ』ではありませんか!



…記号に注意です(笑



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